あなたの歯は透けてない?『酸蝕歯』の原因と予防方法

2017.05.02 healthReiko Okabe

歯は口腔内が酸性に近づくと溶け始める

パラメーター

酸性・アルカリ性を表す単位として「ph(ペーハー)」という単位が使われます。phは0~14までの単位で表され、0=酸性、7=中性、14=アルカリ性となります。人間の口腔内は唾液のphコントロールにより、通常はほとんど中性です。

しかし、さまざまな要因でph値が酸性に近づくことで歯が溶けだします。ph5.5程度で歯が溶け始めるとされており、唾液の働きによりphが中性に戻ると歯は「再石炭化」し、傷ついた部分を修復しはじめます。

中性に戻ってから約3時間前後で完全に再石炭化がします。しかし再石炭化をする間もなく口腔内が酸性になってしまうことで、傷ついた部分を修復することができず、さらに酸の働きでエナメル質や象牙質などが溶けてしまい「酸蝕歯」になってしまうのです。

口腔内が酸性に傾く原因と酸蝕歯の影響

口腔内が酸性に近づくと酸蝕歯になりやすいことをご説明しました。そこで、口腔内が酸性になる原因と酸蝕歯の影響についてご説明致します。

口内が酸性に傾く原因

1.酸性食品の過剰摂取
レモン

酸蝕歯を招く原因の中で、もっとも多いと言われているのが酸性食品の過剰摂取です。炭酸飲料水やレモン、オレンジなどの果物を過剰に摂取することで、口腔内が常に酸度の高い状態になり歯が溶けてしまいます。

また、過剰に摂取していない場合でも、酸性食品を長時間口の中にとどめたりすると酸蝕歯の原因になります。ちなみに、コーラはph2.2、リポビタンDはph2.5なので、これらを頻繁に口にすると酸性に傾きやすくなります。

2.過食嘔吐
吐き戻し

過食嘔吐とは、食べたものと合わせて胃液が逆流して嘔吐することです。これを繰り返すと、酸蝕歯が起こりやすくなります。

また、過食嘔吐は逆流性食道炎を併発することがあり、かがんだり横になるだけでも胃液が逆流してしまうこともあるので、より酸蝕歯になりやすい状態を作り出してしまいます。

酸蝕歯が歯に与える影響
歯が溶ける

酸蝕歯になると口腔内が酸性になることで、歯から「カルシウム」や「ミネラル」などの成分が溶けだしています。これを「脱灰(だっかい)」といい、虫歯が進行する直接的な原因になります。

また、脱灰中は歯が柔らかくなっているので、力を入れた歯磨きをすると、歯が傷ついてしまう可能性もあります。

酸蝕歯を予防する3つの方法

1.唾液の分泌量を増やす

よだれ

酸蝕歯を予防するためには、根本的な原因を取り除くことが必要ですが、唾液の分泌量が減少していることで、phコントロールをすることができず、口腔内が酸性の状態になってしまう可能性もあるので、分泌量を増やすことが予防につながります。

唾液の分泌は咀嚼筋を動かすことで、唾液腺を刺激されるので増やすことができます。ガムを噛む習慣をつけて咀嚼筋を動かしましょう。また、普段の食事でも、しっかりと噛むことを心掛けてください。

2.食後30~60分後に歯磨き

電動歯ブラシ

酸蝕歯の悪化を予防するため、歯磨きのタイミングを意識してみてください。脱灰中は歯が柔らかくなるので、食後すぐに歯磨きをすると歯に傷がつきます。

脱灰が起きてから再石灰化が完全に終わり、歯の表面が硬くなるまでには30分~60分かかるので、再石炭化が完全に終わってから歯を磨くようにしましょう。

3.フッ素を利用する

フッ素

フッ素塗布やフッ素入りの歯磨き粉などで歯のケアをするのもおすすめです。歯を覆っているエナメル質が酸に強くなるので、酸蝕歯の予防に効果的です。

また、酸蝕歯用の歯磨き粉など販売されているので使ってみてください。

酸蝕歯の進行が止まらない場合はラミネートベニアもおすすめです

歯科医院

今回ご紹介した予防方法を取り入れても、酸蝕歯になってしまった。もしくは酸蝕歯の進行が止まらない場合は、ラミネートベニア(セラミック)を歯の表面に貼り、天然の歯をガードするように使うなどの治療法もあるので、まずは近所の歯科医に相談してみましょう。

また、過食嘔吐や逆流性食道炎などのある人は、歯科医院ではなく内科や胃腸科、消化器科などで治療する必要があるので、問い合わせてみてください。

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