喫煙者を悩ます汚れ・黄ばみである“歯のヤニ”の対処法
ヤニの正体って何?
そもそも、たばこの「ヤニ」とは何なのでしょうか? たばこにはなんと200~300以上もの有害物質が含まれていると言われています。その中でも特にヤニの主成分であるのが「タール」です。タールはべたべたした油のような物質で、たばこのフィルターを茶色くさせているもの。喫煙者の部屋の壁が茶色っぽくなるのも、このタールのせいなのです。
たばこを吸うと、煙に含まれたタールが高濃度な状態で直接歯に触れるため、ヤニが歯の表面に付着しやすくなります。ちなみにたばこによる害は、歯にヤニが付いてしまうことだけではありません。血管収縮などニコチン特有の作用によって歯ぐきに悪影響を与え、歯周病になりやすくなったり、唾液の分泌が減ることで虫歯になりやすくなったりもします。
自分でヤニを取る方法と注意点
さて、この厄介な歯に付いてしまったヤニを自分で取る方法はあるのでしょうか。ドラッグストアなどで「ヤニを取るためのグッズ」が販売されていますので、いくつかピックアップしてみました。
・ホワイトニング歯磨き粉
・重層歯磨き
・歯の消しゴム
・電動(音波)歯ブラシ
これらの使用が「自分で歯のヤニを落としたい」という場合には有効です。しかし、どれも効果には個人差があり、やりすぎや不適切な使い方をすると歯を傷めることにつながるので注意が必要です。ヤニ取りによって歯を傷つけてしまった場合、その傷からさらにヤニが付きやすくなってしまうこともあるので、くれぐれも乱暴なケアは控えるようにしましょう。
歯のヤニを自分で取るためにもっとも手軽で毎日できそうな方法は、「ホワイトニング歯磨き粉」を使うことでしょう。こうしたホワイトニング歯磨き粉によく含まれている「ヤニ取り効果」のある成分は次の3つです。
・ポリリン酸ナトリウム
・ポリエチレングリコール(PEG)
・ポリビニルピロリドン(PVP)
これらの成分は、「ヤニを取る効果がある」として厚生労働省が認可しています。歯磨き粉を選ぶ際は、この成分が入っているかどうかを確認してから購入するといいでしょう。
さらに、歯磨きの方法にも注意が必要です。ただ闇雲に歯を擦っても、歯の表面を傷つけてしまい、逆にヤニが付きやすい環境を作ることになりかねません。歯ブラシは普通の硬さのものを使用して、小刻みに動かすようにしましょう。ポイントは力が入りすぎないよう「鉛筆を持つように歯ブラシの柄を持つ」ことです。ぜひ試してみてください。
ヤニはたばこを吸うたびに少しずつ蓄積していきます。たばこを吸った後に必ず歯磨きをするなら話は別ですが、現実的には難しいでしょう。しかし、そこまでしないと通常の歯磨きだけではヤニが付くのを防げないというのが実際のところです。
たばこのヤニは歯ぐきにも付くって本当?
歯にヤニが付いてしまうだけでなく、たばこは歯ぐきにも悪影響を及ぼします。たばこを吸っていると、ニコチンの血管収縮作用によって歯ぐきの血流が悪くなり、酸素不足や栄養不足を引き起こしてしまいます。すると歯周病になりやすくなり、虫歯も治りにくくなるのです。
さらに、歯ぐきにも色素沈着することで茶色や黒っぽい色の歯ぐきになってしまうこともしばしば……。歯ぐきに付いたヤニは自分で取ることはできませんから、歯ぐきのヤニを取りたい場合は歯医者さんでレーザー治療や薬品を使った漂白をしてもらう必要があるのです。歯ブラシで歯ぐきを擦る行為は炎症を起こす原因にもなりますので、絶対に避けましょう。
たばこは、ヤニが付くだけでなく、口内にさまざまな悪影響を及ぼすことがおわかりいただけたでしょうか。自分でヤニを取るのも大変ですし、歯医者さんで取ってもらうにもそれなりの費用がかかります。たとえキレイに取ったとしても、たばこを吸えばすぐにヤニが付いてしまいます。もし、たばこのヤニが気になるのであれば、まずは、たばこの本数を減らす「減煙」から検討してみてはいかがでしょうか。ストレスを溜めることなく、少しずつ本数を減らしていき、「禁煙成功」に向けて歩き出している方も増えていますよ。