抜歯を検討すべき!?親知らずのキホンと種類について

2017.10.29 health福本春香

なぜ親知らずがあるの?

永久歯は通常、合計28本生えます。親知らずはその永久歯の一番奥に埋まっている歯で、上下左右すべて生えそろうと歯は32本になります。10代後半から20代前半にかけて生えてくることが多いのですが、生え方はまちまちで4本そろって生えないケースもあるようです。

生えてくると多くの人が抜歯するにもかかわらず、親知らずはなぜ存在するのでしょうか。それは、私たちのはるか遠い先祖の暮らしにおいて必要とされていたからです。かつて人間は、今の食べ物より硬い木の実や動物の肉を食べていました。そのため顎の骨が発達しており、現代人よりも歯が生えるスペースも広かったと考えられています。

ところが、進化するにつれて食事形態は変化し、昔より大きな顎と頑丈な歯は必要ではなくなりました。そのため、顎の骨は小さくなっていったのですが、一方、親知らずはまだ変化の途中として残っていると考えられています。そのため、残っている親知らずは埋まったままになることが多いのです。

抜歯したほうがいい親知らずの特徴

完全に生えてきてしまった親知らずは、虫歯のリスクが高まるため早々に抜歯してしまうことがほとんどです。では、歯ぐきの中に埋没している親知らずの場合、どんなリスクを抱えているのでしょうか。パターン別に特徴を紹介します。

歯ぐきの中で横向きに生えている

レントゲンを撮影した時に横向きに埋まっているのがわかる親知らずで、水平埋伏智歯と呼ばれています。この場合、手前の歯を押してしまうため、痛みを起こしたり、顎関節症の痛みの原因になったりすることもあります。さらに汚れが溜まり、炎症の原因になる可能性があるのです。

そのため、何らかの影響がみられる場合は抜歯することが多いのです。ただし完全に埋まっている状態で手前の歯や周囲の組織に影響を与えていない場合、治療せずに様子を見ることもあります。

親知らずの一部だけ歯ぐきから見えている

歯ぐきの中で斜めや横向きになっている親知らずが、一部だけ見せてくることがあります。するとなかなか気づけないことが多く、少しだけ生えた親知らずと手前の歯の間にどんどんプラークがたまってしまいます。

たとえその存在に気づいたとしても、親知らずは歯ブラシの届きにくいところにあります。そのため磨き残しが毎回できてしまい、虫歯や歯周病、炎症のリスクとなってしまうのです。少しだけ生えた親知らずが原因で、周囲の歯ぐきに炎症がみられる場合などは、抜歯をすすめられることがほとんどです。

特に問題はなく埋まっている

レントゲンで親知らずが埋没していることがわかっても、現段階では特に悪い影響を及ぼしていないこともあります。その場合は抜歯の必要はありません。ただし、親知らずはいつどのタイミングで生えてくるかわからない歯です。

特に女性は妊娠中に生えてきてしまうと治療が難しく、ただでさえ体の抵抗力が弱まっている時期なので、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そういった将来のリスクを考慮して早めに親知らずを抜くことも、1つの選択肢と考えられています。

親知らずを抜歯する場合、まずはCTを撮り、正確な位置や生え方を把握したうえで、歯科医師と治療方法を検討します。通常の抜歯は30分~1時間程度で終わります。

しかし、埋まっている親知らずが大きい場合や奥深くに埋まっている場合はそれ以上に時間がかかることもあります。また、横向きや斜めに埋没している場合、歯肉を切開して抜歯することも。特に横向きに生えているものは一度歯を折って、分割して歯ぐきから取り出すという方法が採用されることもあることを覚えておきましょう。

もちろんどの方法もきちんと麻酔をしたうえで行われますが、術後の痛みや治りには差が出てくることもあります。「親知らずを抜く」と聞くと恐怖心を覚えてしまいますが、最近では痛みの少ない治療法がどんどん取り入れられているので、まずは歯科医院で相談をしてみてください。

「とにかく何でも抜いてしまえ」という考えはよくないですが、少なくとも親知らずは埋没した状態を放置してしまうと何らかのリスクを抱える可能性が多い歯。納得のいく説明を受けたうえで、将来のために治療を検討しましょう。

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