親知らずの生え方が顎関節症発症を誘発する!?

2017.10.04 health根岸

親知らずは誰もが生えるもの?

“親知らず”とは名前の通り、親が生え始めを知らない時期、つまり子どもが成長して自立していくと言われる、思春期後半から20代くらいまでに生えてくることが一般的です。必ずこの時期に生えてくるというわけではありませんが、基本的に他の永久歯が生えそろった後になります。

中には、親知らずが40~50代で生えてくる人や生涯生えてこない人もいます。親知らずが生えてくるタイミングは人それぞれなのです。特に近年では、食生活などの影響で日本人の顎が細く小さくなったことが、親知らずがお口の中で悪影響を与える要因となっています。親知らずはお口の一番奥に生えるので、顎が小さいと生えてくるスペースが少なくなってしまうのです。

親知らずの状態を確認したい場合は、歯科医院でレントゲンなどお口全体の写真を撮ってもらうのがよいでしょう。生え方によっては、歯ぐきから出てこない場合もあります。また、斜めに生えている、他の歯に影響を与えているなどの場合は、抜くことが最適な場合もあるので、一度歯科医師に相談してみましょう。

親知らずが生えることによるリスクとは?

親知らずが生えることで、さまざまなリスクが生じてきます。親知らずは、口腔内の一番奥に生えるので、磨き残しによって虫歯になりがちです。また、親知らずが生えることによって、その手前の歯が虫歯になってしまうこともあります。他にも年代別のリスクもあるので紹介します。

20代の場合

噛み合わせや生えている方向に問題がなければ、急いで抜く必要はありません。しかし、磨き残しがあると虫歯になりやすいので、毎日の歯磨きはしっかりと行う必要があります。

30~40代の場合

生えていることへのリスクよりも、歯を抜くことへのリスクが高まる年代です。歯を抜いた場所の骨が完全には元に戻らずに骨が陥没したり、歯周ポケットが残ってしまったりすることで歯周病の発生リスクが高まります。また、口臭の原因にもなるそうです。早めに抜歯するか、噛み合わせに問題がなければ残す選択もあるようです。

50代以降の場合

50歳を過ぎると全身疾患(糖尿病・心疾患・高血圧)の症状が出てきます。体の状態も大切ですが、糖尿病に患っている場合だと、一定の数値基準を満たさないと抜歯はできません。長期的に体の状態を見ながら治療していく必要があります。万が一、親知らずが痛みが出たとしても体の状態が最優先になるので、投薬処置で様子を見たりする可能性があります。

顎関節症ってどんな症状なの?

そして、親知らずが生えたままだと顎関節症になる可能性があります。顎関節症には「口を動かす時に顎が鳴る」「口が大きく開かない」「顎が痛む」という三大症状があります。

原因としては、「顎に余分な力を入れてしまう」「食べ物をかむ時に左右どちらかに偏って食べてしまう癖がある」「ストレス」「かみ合わせの悪さ」などが挙げられます。またそれだけでなく、あまり硬いものを噛まないため、顎が細くて小さい現代人の特徴も顎関節症が起こりやすい要因と考えられています。

そして、親知らず抜歯直後は「開口障害(何らかの原因により下顎の開口が難しくなる障害)」が起こりやすくなります。抜歯直後のまだ炎症が残っている抜歯痕の周辺に、何らかの負担がかかることで炎症が悪化し、顎関節症を発症してしまうことがあります。

それを防ぐためにも、抜歯後はしっかりと歯科医師の指示に従い安静にするようにしましょう。それでも顎関節症を発症した場合は、口腔外科を受診して専門家の指導のもと治療を行いましょう。

親知らずは状態に合わせた最適な選択を

親知らずは顎関節症を招いたり、お口の中のケアがしにくくなったりなどさまざまなトラブルの要因になり得ます。そのため、今は何の症状もなかったとしも、親知らずがどんな状態にあるのかを知ることは重要になります。そして、その状態次第では治療したり、抜歯に踏み切ったりといった選択をしたほうがいいケースも出てくるでしょう。

親知らずをそのまま放置すると後悔することも多いので、症状が出ていないうちに自身の状態に合わせた最適な選択を行うことが重要になるのです。

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