歯科医師が解説する舌を噛んだときの対処法 併せて注意したい口内炎の放置の危険

2018.02.13 interviewHa・no・ne編集部

さかえ歯科医院の院長が教える!舌を噛んだときの対処法

人はなぜ舌を噛むのか、そのメカニズムとは?

人はなぜ舌を噛むのか

早速、多くのHa・no・neユーザーが答えを知りたがっている、舌を噛むことについて尋ねてみたところ、「舌を噛むことに年齢や性別は関係ありません」と榮先生は返答し、誰にとっても日常的にあり得ることだと説明してくれました。舌や頬を噛む主な原因としては「歯並び・嚙み合わせの悪さ」「顎の調子の悪さによる普段異なる噛み方」「銀歯などの被せ物の形状の悪さ」の3つのいずれかである可能性が高いとのことでした。また、新たに被せ物をしたり義歯を入れたりなど、お口の環境に何らかの変化があると、舌を噛みやすくなるのだそうです。

中でも頻繁に舌や頬を噛んでしまう人は、嚙み合わせに原因がある可能性が多いとのこと。嚙み合わせや被せ物の形はご自身だけでは判断ができないため、定期的に歯科医院で検診を受けて専門家にチェックしてもらうことが必要になるでしょう。

ちなみに舌を噛む原因としてストレスが挙げられることもありますが、榮先生はストレスが舌を噛む直接的な原因になることはないと説明。過度なストレスを受けそのストレスに抵抗するために舌を噛んだりしてしまう癖がある人やストレスから生じる歯ぎしりなどの影響によって口の中の環境が変化し、舌を噛んでしまうケースはあるとのことでした。また、人にはそれぞれ食べ物を噛むリズムがあり、そのタイミングがズレると舌や頬を噛んでしまうようです。

きちんと把握しておきたい、舌を噛んでしまったときの対処法

対処法

さまざまな要因によって生じる舌を噛むというハプニングですが、舌や頬などの粘膜には毛細血管が多いため、強く噛めばそれだけ出血してしまうことも珍しくありません。そんなとき、榮先生は「何よりも優先してすべきは止血です」と断言。逆に避けた方がいい対応が「うがい」だそうです。

お口の中が血で充満してしまうことが気持ち悪いからといってうがいをしてしまうと、かえって血が止まりにくい状況になってしまうようです。止血の際は、まず手を清潔な状態にした後できれいなガーゼを出血部分に当て、ぎゅっとつまむように押さえるようにしましょう。とはいえ、なかなかすぐにきれいなガーゼを即座に用意するのは難しいかもしれません。その場合は、ティッシュの使用でも問題はないとのことです。

基本的には舌や頬を噛んでも、しっかり止血すれば問題ありません。しかし、強く噛んだことであまりにも傷が深いと「化膿してしまう恐れがある」と榮先生は注意喚起。2~3日経っても傷がまだ痛むようであれば、すぐに歯科医師の診察を受けた方がいいようです。傷次第では舌を縫う必要が出てくることもあるようですが、治療によって「味覚障害が起こるなどの心配はまずないだろう」と榮先生は話してくれました。

口内炎ができたら?今注目のレーザー治療もご紹介!

口内炎は歯科医院での治療が最善策

口内炎について

舌や頬を噛むことから派生して、榮先生は口内炎についてもくわしく教えていただきました。口内炎はストレスや乱れた食生活によってホル体調が崩れたり、薬の副作用で発生しやすくなるので日常生活の見直しなどが必要ですが、舌や頬を噛んだことで口内炎が発生するケースも少なくありません。

口内炎を早く治すためには、市販されている薬の購入をイメージしますが、榮先生によれば「ドラッグストアなどで市販されている薬は効果が薄い場合が多い」との見解。市販薬は応急処置的な役割は果たしますが、きちんと治したいのであれば歯科医院に足を運ぶのが1番だそうです。

歯科医院では口内炎の治療も行っており、アフタゾロンやデキサルチンといった市販薬より効果の高い薬を処方できると榮先生。口内炎はレーザー治療でも治癒を早めることができます。レーザー治療は自費診療のため、料金は歯科医院によりけりですが、ちなみに「さかえ歯科医院」では小さい口内炎であれば治療費は500円程度となるそうです。

たかが口内炎と考える人がいるかもしれませんが、「口内炎と思っていたデキ物が実は“がん”だったというケースも決して他人事ではない」と榮先生は語ります。特にお口の中にできる口腔がんは、歯科医院での検診で発見できる可能性が高いため、もしも口内炎がなかなかよくならず悩んでいるのであれば、我慢することなく1度歯科医院で診察を受けてみるといいでしょう。

口内炎を治す治療法として注目のレーザー治療とは?

レーザー治療

歯科医院で口内炎を治すための治療法として、今後広がっていきそうなのが患部にレーザーを照射する「レーザー治療」です。「レーザーがあれば、口内炎はとても簡単に治療ができる」と榮先生も豪語していました。レーザー治療を受ければ痛みはその日のうちにかなり緩和され、傷は2,3日で完治するようです。患部を切ったり、縫ったりする必要がないため、非常に安全な治療として注目を浴びています。

また、レーザー治療後注意するべきことが少なく、強いて挙げるなら「食事の際に刺激物を避ける」「アルコール入りのうがい薬は避ける」くらいのため、非常に効果的な治療法と言えるでしょう。カウセリングなど含めて15分程度で終わる治療時間の短さも大きな魅力です。

レーザー治療の現在の課題として挙げられるのが知名度の低さ。レーザー器具は非常に高価なため、まだ完備していない歯科医院が多く、聞き慣れないレーザーという言葉に恐怖感を覚える患者さんが多いのだと苦笑いを浮かべる榮先生。特に子供は非常に怖がるため、まだレーザーを使用したことはないのだとか。ただ、レーザー器具の価格は着実に下がってきており、保険の適用ができるレーザー治療も存在するため、「今後レーザー治療を導入する歯科医院は増えてくるだろう」とのことでした。

お口のことで悩んだら歯科医院で診察受診がおすすめ

舌を噛んだり口内炎が発生したりしたくらいで歯科医院へ行くという発想を、持ち合わせていない人の方が多いかもしれません。しかし、歯科医院で診察を受けることで、嚙み合わせの悪さや被せ物の形状の悪さなどトラブルの原因を把握でき、適切な対処ができる可能性があります。現在、「よく舌を噛む」または「口内炎が痛い」という症状に悩まされている方は、近くの歯科医院に足を運んでみることをおすすめします。

▼取材協力▼
さかえ歯科医院
榮健臣先生プロフィール
医院HP
〒144-0046
東京都大田区東六郷2-1-5
03-6424-5959

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