歯ぎしりの緩和の方法として選ばれているボトックス注射
ボトックス注射が歯ぎしりに効果的な理由
ボトックス注射は健康と美容の両面をケアすることが目的にした使用が増えており、口元のエイジングケアをはじめとして主に美容整形の分野で活用されています。ただ、本来の筋肉を和らげる役割を利用してガミースマイル、歯ぎしりや食いしばりの改善など歯科領域の処置としても導入され始めています。
ボトックス注射とは
「ボトックス」とはボツリヌス菌から抽出されるA型ボツリヌス毒素のこと。人の神経物質の伝達を抑える働きがあり、こわばった筋肉を緩和させます。ボツリヌス毒を注入するボトックス注射は、この作用によってしわや顔のえらを目立たなくするなど口元のエイジングケアにも活用されています。
歯ぎしりの改善に効果的な理由
歯ぎしりは、精神的ストレスなどさまざまな原因が考えられますが、歯ぎしりを続けていると、咬筋に過剰な力がかかり、咬筋が硬くなりどんどん症状が悪化します。ボトックス注射を施し、咬筋の過剰な働きを抑制することで歯ぎしりの症状を緩和・改善させていきます。
歯医者さんで受けられるボトックス注射
歯医者さんでボトックス注射による治療を受けられるのは、歯ぎしりや食いしばり、顎関節症などの症状が挙げられます(ただし、ボトックス注射を使った処置はまだ一般的ではないため、どの歯科医院でも扱っているわけではありません)。
ケース1:歯ぎしりや食いしばり
夜中に歯ぎしりを行っていたり、日中、無意識のうちにグッと力を入れて歯を食いしばっていたりすると、歯が摩耗したり欠けたりするだけでなく、顎が痛み肩こりや頭痛など全身にさまざまな症状が出てきます。こうしたことから歯ぎしりや食いしばりはできるだけ早めに改善したい症状です。
歯ぎしりや食いしばりの治療では、ボトックス注射を咬筋に注射をすることで、咬筋の動きを抑制することで症状の緩和が期待できます。
ケース2:顎関節症
ボトックス注射は顎関節症の患者さんにも使用されることがあります。顎関節症になると顎がカクカクとなったり、顎が痛んだりするほかに、口が開かなくなったり肩こりや頭痛、めまいなど、歯ぎしりや食いしばり同様全身にさまざまな悪影響が生じます。顎関節症においてもボトックス注射を咬筋に打つことにより、咬筋の動きを抑制し、顎関節症のさまざまな症状を緩和することが期待できます。
ケース3:睡眠時無呼吸症候群
歯ぎしりをしてしまっている方の多くが睡眠時無呼吸症候群も併発しています。睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病をはじめ、さまざまな病気の原因になりかねませんので、できるだけ早めに症状を緩和したいものです。ボトックス注射により歯ぎしりなどの症状が緩和されることで、睡眠時無呼吸症候群の発症を抑えることが期待されます。
ケース4:口内環境なども改善
歯ぎしりや食いしばりは上下の歯を必要以上に強く噛むので、歯のエナメル質を傷つけ、歯を摩耗させてしまいます。また歯の噛み合わせも悪くなり顎関節症を引き起こすほか、口内環境も悪化し虫歯や歯周病のリスクを高めます。ボトックス注射で歯ぎしりや食いしばりの症状を緩和することで、こうした悪循環を断ち切ることができます。
症状5:口元のフェイスラインケア
歯ぎしりや食いしばりを続けていると歯が左右アンバランスにすり減ってきて、顔貌が歪んできたりすることもあります。また、顎関節症では顎に力が入り過ぎるので顔のえらが張ってきたりもします。ボトックス注射で歯ぎしりや食いしばり、顎関節症の症状にアプローチすることで顔の左右の歪みやえらの張りなどのフェイスラインケアにもつながるのです。
歯医者さんでのボトックス注射の注意点
ボトックス注射は効果が限定的などのさまざまな注意点があります。
注意点1:ボトックス注射は効果の持続期間が限定的
ボトックス注射は、注射を打ってすぐに効果が現れるものではありません。筋肉の動きを抑制するまでに時間がかかるからです。ちなみに歯ぎしりや食いしばり、顎関節症の場合は注射を打ってから7日から10日程度で効果を実感すると言われています。また、効果の持続期間は施術を受けてから3~6ヶ月程度です。
注意点2:ボトックス注射は保険適用外
ボトックス注射は保険適用外で、一般的に1回あたり3~5万円程度かかります。また、価格は歯科医院によって違いがあるので、ホームページやお問い合わせなどで事前に情報を集めたうえで歯科医院を選ぶことをおすすめします。
ボトックス注射で口元の筋肉系のトラブル改善へ
歯ぎしりや食いしばり、顎関節症はさまざまな原因で起こる症状です。そのため、効果的な治療法が確立されていないとも言えます。ボトックス注射で筋肉を緩和させることで歯ぎしりや食いしばり、顎関節症などのトラブルの改善につながることが期待できるので、医師への相談のもとでボトックス注射の採用を検討してみてください。