健康維持のために重要なのは「歯を残す」意識~ちぃ先生の手記第12回~

2018.11.15 dhちぃ先生

以前までは二の次だった歯を残すこと

みなさんがイメージしている以前までの虫歯治療と言ったら、ギュイーンという大きな機械の音を出して歯を削るものではないでしょうか?「痛い、怖い、嫌い」という幼少期のネガティブなイメージを払拭できていない方も多いでしょう。もっとも10年くらい前までは、そのような悪い箇所を削り取る治療法が主流でした。歯を残すというよりも、悪くなってしまった箇所を削ったり、歯を抜いたりして排除する治療ばかりだったんですね。

確かに悪い部分を排除することで、虫歯に冒された箇所の進行を防ぐことはできますが、患者さんからしたら歯医者に対して「痛い、怖い、嫌い」という思いを抱いてしまいがちです。歯を削られたり、抜かれたりしてしまう恐怖心が今もトラウマとなって“歯医者嫌い”を増幅させているのかもしれません。しかし、現在ではできるだけ歯の寿命を延ばすための治療法が行われています。その内容については次の章でくわしく解説しましょう!

歯を「削らない」「抜かない」はいまや常識

近年では、歯を無闇に削ったり、抜いたりしない方がお口の健康を長く保つうえでも良いとされています。抜歯だけではなく、歯の神経を抜いてしまうことでも歯が脆くなりやすくなり、歯の寿命を縮めてしまうと言われているからです。では実際に歯を残すための治療法としてはどんなものがあるのでしょうか?

注目されている歯を残す虫歯治療としては「ドックスベストセメント(Doc´s Best Cement)」という方法があります。これは殺菌効果のあるセメント(詰める材料)を詰めて虫歯菌を閉じ込めて死滅させるという先進的な治療方法なのですが、まだ保険適用はされていません。また、セメントを詰めても良くならないケースもあり、まだまだ日本では発展途上の治療法です。しかし、「絶対に歯を削りたくない!」という方にはこれから期待できる治療法なので、覚えておいて損はないでしょう。

抜かない治療というのは、虫歯がものすごく進行し、根っこだけになってしまっていても、隣の歯が傾いてきたりしないようにあえて残す方法もあります。根っこだけ残しておけば、その後入れ歯になってしまったとしても、歯の感触があるため噛みやすく、ご飯も美味しくいただけます。歯周病であまりにも歯がグラグラな状況をのぞいて、不要不急の抜歯は好ましくないですよね。

歯の寿命を延ばすことがQOL向上に

夫婦

歯の寿命は実は50~60年と言われていて、人間の寿命よりだいぶ短いとされています。そのため、高齢になると「歯がほとんどない」という方が増えてきます。しかし、歯は年を重ねたら必ずしもなくなるわけではないので、オーラルケアを徹底することが大切です。歯が多く残っていることで見た目も若々しくなり、自分の歯で食事ができることでQOL(quality of life/生活の質)の向上も見込めます。

そして、歯を失うリスクにつながる虫歯や歯周病を予防するためには、定期的に歯科医院でメインテナンスをすることが最善だと言えます。なぜなら、もし虫歯や歯周病が見つかっても、軽度であれば削ったり抜いたりしないで治療を進めることができるからです。早期発見・早期治療はお口のトラブル解決において鉄則だと言えます。

また、よく勘違いされがちですが、歯医者は虫歯・歯周病だけを治療するための医療機関ではありません。口の中全体の疾患や症状、トラブルに対して治療を行うところなので、噛み合わせが偏っていたり、口内炎やヘルペスが気になったりする場合に罹る医療機関として気軽に利用するようにしましょう。定期的に通うことでお口の健康維持がしやすくなり、しいてはQOL向上にもつながるはずです。

❤ちぃ先生から一言❤歯の寿命を縮める治療はなるべく回避しましょう

以前までは悪い箇所を削ったり、抜いたりして的確に処置を行う対症療法が主流でしたが、現在では歯を生涯残すという長期的な視点での治療が推奨されています。昔と比べて人間の寿命も延び、高齢になっても残っている歯の本数が増えたため、従来の歯にダメージが蓄積されやすい治療が良しとされなくなってきたことが理由の1つだと言えます。歯を健康の状態で少しでも長く保つためにも、そして将来的により多くの歯を残すためにも、予防の意識を高く持ちましょうね。

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【ライター紹介】 ちぃ先生

ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~

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