毛先が2mm広がると40%清掃効果がダウン「歯ブラシの替え時」とは～ちぃ先生の手記第56回～

歯ブラシの毛先が広がってもそのまま使い続けていると…

意外と知らない歯ブラシの正しい替え時は？

それではさっそく、歯ブラシの替え時について見ていきましょう。ちぃが歯科清掃用具の研究をおこなっている方に伺うと、歯ブラシの背中のほうから見て毛先が2mm広がっていると、なんと40%ほど清掃効果が落ちると言われているとのこと。わずか2mmで、半分近く歯磨きの効果が落ちてしまうというのは衝撃ですよね……。けれど、1mmならまだ大丈夫なのかというと、それでも20%ほど清掃効果が落ちているという意見があるので、やはり広がる前に歯ブラシは買い換えることを提案します。

一般的に、歯ブラシの買い替え時は１ヶ月ほどと言われることが多いです。ですが、人によって持ちは異なることが多いのではないでしょうか。普段歯磨きする際に大きく動かし、力強くゴシゴシ磨いていると、1ヶ月経たなくても毛先が広がってしまいますよね。強くゴシゴシ磨いても、必ずしも汚れの落ちがよくなるというわけではありません。歯の汚れを効率よく落とすため、そしてブラシの持ちをよくするために、歯磨きする際はブラシをやさしく細かく動かしましょうね。

電動歯ブラシと手動歯ブラシで交換時期の差はある？

歯ブラシには電動のものや手動のもの、毛先のかたさの違いなど、多くの種類がありますよね。それらの交換時期に差はあるのでしょうか？ずばり、種類や毛先のかたさによって交換時期に差があります！
手動の、ブラシがやわらかいものや毛先が細い歯周病用のものなどは広がりやすいため、交換時期も早くなるでしょう。ブラシがかたいものだと、毛先が広がりにくいため、人によっては2ヶ月くらい持つこともあります。

電動歯ブラシは、メーカーによって2～3ヶ月、3ヶ月、3～4ヶ月といった交換時期の目安が案内されているため一概には言えません。音波の微振動で動くことや、ブラシの毛が短いことなどから、手動の歯ブラシと比べて傷みにくく、短期間で毛先が広がるということは少ないと思います。
しかし、衛生面を考え、2〜3ヶ月くらいを目安に交換するのがベターでしょう。次のページで、歯ブラシの衛生状態についての説明をしますね。

新品の歯ブラシでも一度歯磨きをしたら菌がいっぱい！？

歯ブラシを替えないでいると他にどんなリスクが起こるのか

歯ブラシを交換せずにいると、磨き残しが増えてしまうだけではなく、他にもリスクがあります。
私たちの口の中には、数十億もの雑菌が繁殖しているといわれていて、歯を磨くときには歯ブラシを口に入れますから、その雑菌が移りますよね。そして、3週間ほど使用した歯ブラシにはなんと100万〜1億ほどの菌が繁殖しているというケースもあるそう。

歯の研究者たちが小児歯科学雑誌で発表した「小児が使用する歯口清掃器具の細菌汚染に関する研究」という記事では、子供を対象とし、新品の歯ブラシで歯磨きをした後で自由にブラシを洗ってもらい、残った菌のコロニーを数えるという研究をおこなっています。その研究では、最大で1000万ものコロニーが測定されたとのことです。
たった一度の歯磨きでこの数ですから、何ヶ月も替えていない歯ブラシの菌を考えるとゾッとしますよね。

それでは、少しでも歯ブラシの雑菌を少なくするにはどうすれば良いのでしょう？そのためにはきちんとお手入れをし「歯ブラシをよく乾燥させること」が鉄則です！
歯ブラシを使い終わったら、流水でしっかり毛先を動かしながら洗い、ペーパータオルやティッシュなどで水気を拭き取ります。そして、風通しのいい、できれば自然光のある場所に歯ブラシを保管して十分乾燥させましょう。
携帯用の歯ブラシなど、ケースに入れている場合は湿気が溜まりやすいので、ケースはもちろん歯ブラシを入れているポーチなどもよく乾燥させるようにしてください。そのままにしていると、雑菌が繁殖するばかりか、カビが発生してしまうこともあるので気をつけましょうね。

【ライター紹介】　ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha･no･neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ～美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋～
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ～美容テク＆お口の健康講座～

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