歯ブラシが落とせる汚れは5割だけ…現役歯科衛生士に聞く「正しいデンタルフロスの使い方(初心者編)」

2019.08.08 dhHa・no・ne編集部

まずデンタルフロスを「使うこと」が大切!

目指すのは使いやすいものを「毎日継続」すること!

毎日継続



Ha・no・ne編集部 リン(以下リン)
「初心者向け」に、デンタルフロスの選び方・使い方を教えてください。まずはフロスの選び方なのですが、糸巻きタイプや持ち手が付いているものなど、さまざまなタイプがありますよね。実際、フロス初心者に使いやすいタイプはどれなのでしょうか?

オズ通り歯科医院 歯科衛生士 小池あずささん(以下小池さん)
初心者に使いやすいのは、やはり“持ち手のあるタイプ”でしょう。指に糸を巻くタイプは、慣れないと使うのは難しいですね。

リン
持ち手が付いたものですと、P字タイプやY字タイプがありますよね。どちらがいいのでしょうか?また、歯並びによっておすすめのタイプはありますか?


持ち手のあるタイプ



小池さん
使う場所によりますね。例えばP字タイプは、前歯には使いやすいですが、奥歯には使いにくいです。Y字タイプは、前歯からそのまま奥歯まで移動させやすいです。フロスは毎日使うことが重要なので、歯並びというよりは、自分が使いやすいタイプを選ぶのがベストだと思います。

リン
まず前提として“毎日”使うことが大切なのですね。では、フロスにワックスが付いているものとそうでないものは、どちらがいいのでしょうか?

小池さん
ワックスがあるものは滑りが良いので、歯間に余裕がない人は使いやすいと思います!ワックスがないものは、滑りは劣るのですが、その分、汚れは取れますね。その点では、初心者はワックスがあるほうがいいのですが、そうなると糸巻きタイプが主流になるので、使うのが難しいかもしれません……。


糸巻きタイプ



リン
やはり糸巻きタイプは上級者向きということでしょうか。

小池さん
そうですね……慣れればみなさんスムーズにされるのですが、慣れるまで時間がかかるかもしれませんね。

使うタイミングは気付いたときにいつでもOK


使うタイミング



リン
フロスを使うタイミングは、いつがいいのでしょうか?

小池さん
私は自分が続けやすいタイミングであればいつでもいいと思います。

リン
つまり、とにかく大事なのは「使うこと」なのですね。

小池さん
そうですね。使う場所も、洗面所ではなくてもいいんですよ。私も、朝メイクするときに座って使ったり、テレビを見ながら使ったりもします。


フロスの交換時期



リン
実は私も、洗面所ではないところで使っています。それでもいいのですね。

小池さん
はい、全く問題ありませんよ。

リン
フロスの交換時期も気になるのですが、一回ずつ新しいものに交換したほうが良いのでしょうか?

小池さん
それは使うものによりますね……。例えば1本の値段が高く、糸が何本も重なったタイプでしたら「糸が切れてきたら交換してください」と伝えています。

一方で袋に何本も入っているようなものは、すぐに使いにくくなる傾向があります。常に清潔なものを使いたいのであれば、そのようなものをどんどん交換しながら使ったほうがいいかもしれませんね。

出血や痛みは炎症のサイン…念入りにケアを!

念入りなケア



リン
では、正しいデンタルフロスの使い方を教えてください! 質問で多かったのは「どこまで深く入れるのか?」です。

小池さん
歯間の、痛く感じないところまで入れてもらえばOKです。フロスの動かし方としては、左右の歯の側面に沿わせて、のこぎりを引くイメージで擦ってください。


正しいデンタルフロスの使い方



リン
痛く感じたり出血があったりする場合はやめたほうがいいのでしょうか。

小池さん
痛みや出血があるのは、炎症が起こっているサインでもあります。ですから、汚れを取らないと出血が止まらないケースもあります。

リン
では、出血していても一度きちんと綺麗にしたほうがいいということでしょうか。

小池さん
そうですね。出血するのを敬遠されて辞めてしまう方も多いのですが、そうすると、そこに汚れがどんどん溜まってしまって、炎症が改善されないこともあります。

リン
フロスを使っていると抜きにくい部分があるのですが、それは力の入れ過ぎでしょうか。それとも、何度も引っかかる部分には何か問題があるのでしょうか?

小池さん
詰め物が合わずに段差ができていると、抜けにくくなります。フロスが何度も引っかかって気になる場合は、一度歯科医院で診てもらったほうがいいでしょう。
もし、詰め物が原因でどうしても引っかかる場合は、もう引き抜くしかないので、糸巻きタイプをおすすめしています。糸巻きタイプだと、横からスッと抜けるので。


どうしても引っかかる場合



リン
確かに、無理に上に引っ張らなくてもいいですね。

歯ブラシのみでは汚れの半分しか落とせない

歯間ブラシも併用



リン
歯間に使うアイテムと言えばほかに“歯間ブラシ”もありますよね。フロスに加えて歯間ブラシも併用したほうがいいのでしょうか?

小池さん
できれば併用したほうがいいです。とくに奥歯の歯間汚れは、フロスよりも歯間ブラシのほうが取れるんです。でも前歯の歯間はブラシだと通りません。ですから前歯にはフロス、奥歯には歯間ブラシ、と併用するのがベストです。

リン
いきなり併用はハードルが高い人もいると思うのですが、まずはフロスを使うだけでも違うのでしょうか?

小池さん
そうですね。実は歯ブラシのみでは、汚れの5割しか落ちないと言われています。


小池さん



リン
5割!?

小池さん
そうです。そこからフロスや歯間ブラシを使用して、7〜8割の汚れを落とせると言われています。

リン
歯ブラシのみでは汚れの半分しか落ちていないとは……驚きです!やはりフロスや歯間ブラシの併用が大切なのですね。

小池さん
そうですね。できれば毎日1回はやっていただきたいです。でも、初心者の方は2〜3日に1回でもいいので、とにかく「続けること」を目標にして欲しいです。

リン
なるほど。ちょっと面倒くさいと思っても、無理のない程度に続けることが大事なんですね。教えていただきありがとうございました!



「歯ブラシで落とせる汚れは半分」とは普段歯ブラシのみでケアを済ませている人にとっては、衝撃的な事実だったのではないでしょうか。今回小池さんのお話を伺い、改めてフロスや歯間ブラシを併用する大切さに気がつくことができました。また、そのようなケアでも2割程度の汚れは残ってしまうとのこと。だからこそ、定期的な歯科検診が大切なのですね。小池さん、この度は貴重なお話をありがとうございました!

▼取材協力

オズ通り歯科医院
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