【後編】歯科衛生士が解説!知っておくと役に立つ「酸」と「歯」の関係~ちぃ先生の手記第68回~
酢や醤油にフレンチドレッシングなども…酸性にかたむく食べ物
「酸蝕症」をまねくメカニズムとは
そもそも炭酸飲料を含む清涼飲料はpH値が低いものが多いです。pH値は高くなるとアルカリ性が強く、低いほど酸性が強い傾向にあります。また、多くの清涼飲料は酸性が強く、酸性の飲食物によって歯が溶けてしまう状態「酸蝕症(さんしょくしょう)」の危険性があるといわれています。
食卓で使用する酢や醤油、フレンチドレッシングなどの調味料も比較的pH値の低い食品であり、実は私たちの身近には、酸性の食べ物が多く存在しているのです。
「じゃあ何も飲めないし、食べられないの?」と思ってしまうかもしれませんが、飲食物は飲み込むため、歯に長くついているわけではないのでOKです。
ここで注意したいことは「ダラダラ食べ続けること」の危険性です。お菓子やジュースを長時間ずっと食べ続けていると、お口の中のpHがずっと酸性に傾いてしまうので、歯の表面が溶け出しやすく虫歯になりやすい傾向にあります。テレビを見ながら、本を読みながら、などの「ながら食べ」に心当たりはありませんか?
次の項目からは、酸蝕症を防ぐためのケアについて紹介していきます。
飲食後すぐにしたいオーラルケア方法と対策
それでは、飲食後にすぐできるオーラルケア方法を紹介します。
(1)うがい
水は中性であることから、水でぶくぶくうがいするだけでも口の中のpHをケアできるうえ、食べかすなども洗い流せるので効果的です。何かを食べたあとに毎回歯みがきをする時間がないという方でも、うがいだけなら気軽にできますね。
(2)口の中につばを溜めこむ
唾液には緩衝作用といって、お口の中のpHを元の状態に保とうとする機能があります。そして、唾液の量が多いほどpHは高くなります。
(3)キシリトール入りのガムを噛む
キシリトールには、虫歯菌に酸を作らせない、唾液の分泌を刺激するなどの働きがあります。唾液が酸蝕症の予防に良いというのは、さきほども解説しましたね。唾液によってpHの中和を促進させ、さらに唾液中のカルシウムがエナメル質と結び付く再石灰を活発にすることにより、虫歯を予防してくれます。
「炭酸飲料は一切やめる!」といった無理のある計画を立てると、挫折してしまい逆効果になることも考えられます……。まずは間食後にうがいをしてみたり、間食の時間をきちんと決めることなどからケアを始めてみましょう!
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~