【前編】歯科衛生士が解説!知っておくと役に立つ「酸」と「歯」の関係~ちぃ先生の手記第67回~
日常生活から意識したい酸蝕歯を防ぐ習慣とは
暑い夏に飲みたくなる「炭酸ドリンク」の怖いデメリット
コーラを飲むと歯が溶ける、炭酸飲料には角砂糖何個分の糖が含まれていて糖分のとりすぎにつながるなど……炭酸飲料にまつわる悪影響のリスクはさまざまなところで耳にします。それに「歯が溶ける」なんて言われると、やっぱり怖いですよね。しかし、なぜ炭酸飲料で歯が溶けると言われているのか、メカニズムまで知っている方は少ないのではないでしょうか?
コーラに限らず、一般的に清涼飲料には酸味を加え、酸化を防止するための酸味料が含まれています。歯や骨の成分であるカルシウムやマグネシウムは酸に溶ける性質を持っているため、この酸味料の影響で溶けてしまうケースがあると考えられています。また、酸性の飲食物によって歯が溶けてしまう状態を「酸蝕症(さんしょくしょう)」、酸によって溶けてしまった歯を「酸蝕歯(さんしょくし)」といいます。
酸蝕歯を予防する方法4つ
(1)酸性の飲食物を控える
自分が毎日どんなものを飲んでいるのかを振り返ってみてください。炭酸水やスポーツドリンクなどの清涼飲料を日常的に飲む習慣のある人は要注意です。その場合は少しずつ頻度を減らし、代わりにミネラルウォーターやお茶などを飲むようにしましょう。
(2)ダラダラ食べ続けない
酸性の飲食物を長時間食べ続けることで、酸蝕歯のリスクが高まってしまいます。食事の後にすぐお菓子を食べる、間食の時間が長い方は気をつけましょう。食事はきちんと終わらせ、ダラダラとお菓子を食べないことや、間食は時間や量を決めて切り上げるといった心がけが大切です。
(3)酸性の飲食物を口にした後は水でうがいをする
中性である水で、ぶくぶくうがいをすることにより、口の中のpHの調整をすることができます。また、就寝時は唾液の分泌量が少なくなるのでpHが元に戻るまで時間がかかります。寝る前の歯みがきをしたあとには飲食をしないのが望ましいですが、もしも清涼飲料などを飲んだ場合は、うがいだけでもするのがおすすめです。
(4)すぐに歯みがきをしない
少し意外かもしれませんが、食後にすぐ歯みがきをしないこともポイントの1つです。酸性の飲食物を摂取した直後は、酸によって歯が柔らかくなっています。その状態で歯みがきをすると歯がすり減ってしまうので、唾液によって口の中が中和される30分後まで待ってから歯みがきしましょう。歯の再石灰化を促すため、フッ素入りの歯みがき粉を使用するのもおすすめですよ。
清涼飲料など酸性の食品で歯が溶けてしまう酸蝕症のメカニズムや、飲食後すぐにできるケア、予防するためのコツなどを紹介しましたが、いかがでしょう?夏場は喉が渇きやすく、気軽に飲める清涼飲料に手が伸びてしまいがち……。ですが、飲食後のケアや普段の生活習慣などに気をつけることで、酸蝕症のリスクを軽減できるでしょう。
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~