あなたの口腔ケアは間違っている?「誤嚥性肺炎」のリスクと歯周病の関係~ちぃ先生の手記第91回~

2019.11.05 dhちぃ先生

歯科衛生士が提案する「口腔ケア」の大切さ

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎とは


(1)誤嚥性肺炎の原因は?

食べ物や飲み物を飲み込むと通常は食道に入りますが、誤って気道に入ってしまうことがあり、これを「誤嚥」といいます。このとき口の中で歯周病菌などの、ばい菌が繁殖していると肺の内部で炎症をおこしてしまうリスクが……。これが誤嚥性肺炎の原因のひとつ。

また高齢者の肺炎の原因には、気づかないうちに唾液や胃液などが肺に入る「不顕性誤嚥」が多いといわれています。咳をしたり飲み込んだりする筋力や脳からの反射司令が衰えるため、寝ている間に誤嚥を起こしてしまう恐れがあるのです。

(2)誤嚥性肺炎のリスクがある人は?

誤嚥性肺炎は気管支にリスクがある方よりも、脳血管リスクのある方のほうがかかる傾向にある病気と考えられています。大脳は生命活動に重要な誤嚥反射や咳反射などを司っていますが、ここに病変などがあるとそれらが阻害され、気道に異物が入るのを排除できずに誤嚥を起こしてしまうのです。

寝たきりで経管栄養法をしている方にもリスクがあります。寝たきりの方は飲み込んだり咳き込んだりする筋力が低下するほか、唾液の分泌量が減り口腔内に細菌が繁殖しやすいので、寝ている間に誤嚥する「不顕性誤嚥」を引き起こしやすい状態になってしまうためです。

また免疫力が低下している方も、口腔内細菌に白血球が勝てず肺炎悪化のリスクが考えられるため注意が必要でしょう。

歯周病と誤嚥性肺炎の関係性は?

歯周病との関係



口内環境や歯周病と誤嚥性肺炎は、密接に関係しています。

高齢者や寝たきりの方は、口腔内が非常に汚れていることが多いです。家族の方や介護士などが身の回りのケアを行っている場合でも、口腔ケアまで行き届かない場合も……。そのため食物残渣の停滞(食べかすがずっと口の中にあること)や歯周病、入れ歯の清掃不良、合わない入れ歯によるダメージ、歯垢、舌苔、口腔乾燥などが見られます。このように汚れた口腔内で増殖した細菌が唾液と混ざり、誤嚥した時に肺炎を引き起こしてしまうといわれています。

誤嚥性肺炎はお口のケアをしっかり行うことで予防できます。次の項目でケア方法を紹介しますので覚えておきましょう!

口腔ケアでできる誤嚥性肺炎の予防方法

プロフェッショナルケア



口腔ケアにはセルフケアと、プロフェッショナルケアがあります。

セルフケアは自分で行う口腔ケアを指します。年齢を重ねても元気な方は、歯ブラシだけではなく歯間ブラシやフロスも使って丁寧に歯みがきをしましょうね。介護が必要な方でも、介助者の方が毎日歯みがきを行えば、清潔な口腔内を保つことが期待できます。

プロフェッショナルケアは歯科医師や歯科衛生士によるケアで、日常的にはできない部位の専門的な清掃や口腔体操、嚥下体操などを行います。訪問歯科診療もありますので、積極的に利用するのが望ましいです!

高齢者


❤ちぃ先生から一言❤誤嚥性肺炎の予防は歯みがきから始めよう!

口腔内のケアを行うことで、誤嚥性肺炎の予防、舌や口唇などの口腔機能のケアにも期待できます。お口の調子が整えば食事量が増え、栄養状態の見直しや免疫機能のサポートにもつながりますから、総入れ歯の方であっても口腔ケアは重要です。
セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせ、お口を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクを減らして健康な毎日を過ごしましょうね!

【ライター紹介】 ちぃ先生
ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~

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