抜歯をせずに歯列矯正をするデメリットって何があるの?
日本人の歯列矯正は抜歯の必要性が高い
日本人の歯列矯正は抜歯が必要となるケースが多く、その割合はなんと治療例全体の6割以上。日本人は元々顎の小さい人が多いため、本来歯が生えるべき場所に十分なスペースがないことが原因で歯並びの乱れを引き起こします。歯列矯正するためには、抜歯でスペースを確保しなくてはいけないケースも少なくありません。
抜歯しないことで起こりうるデメリット
1.口元が前に出る可能性も
抜歯をして歯列矯正を行った口元と、非抜歯で歯列矯正を行った口元を見比べてみると、非抜歯で歯列矯正をした口元の方が前に出てしまっていることが多いです。
顎の幅に対して歯の本数が多いことで、前歯の突出したり、外側に開くような突出することが原因です。酷い場合、奥歯は嚙合っているのに、前歯が噛み合わず口を閉じることができなくなることもあります。
2.歯茎が下がる
抜歯をせずに放置すると、狭いスペースにむりやり納まろうとして歯並びが前後に拡がったり、
歯が通常よりも飛び出して生えることもあります。すると、徐々に歯茎が下がってしまい、下がった歯茎が歯周病になると、通常よりも早く歯周病が進行して歯が抜けてしまうことがあります。
抜歯をする可能性の高い不正咬合の種類
1.上顎前突(出っ歯)・下顎前突(しゃくれ)
正しい歯の位置は、上顎の前歯が下顎の前歯よりも2~3mm前に出ている状態です。上顎前突(出っ歯)は上顎が、下顎前突(しゃくれ)は下顎が出すぎてしまっている状態で、歯列矯正の対象になります。
この場合、顎の形が原因で歯列が乱れている場合と、顎のスペース不足が原因で前歯が押し出されている場合が考えられ、抜歯が必要になる可能性があります。また、骨格が要因であれば、顎の骨を移動させる外科手術が必要になることもあります。
2.上下顎前突
上下顎前突は、上顎と下顎の両方が前に飛び出ている不正咬合です。上下の歯が同じくらいの幅で前に突出するためしっかりと噛み合っているように感じやすく、歯列矯正を行わないという人もいます。外見的な特徴として、真横から見ると口元が大きく前に飛び出しているように見えます。
重度の上下顎前突の場合は、口が閉じづらくなってしまうので、歯列矯正が必要です。上下顎前突も顎のスペース不足が原因で前歯が前に押し出されてしまっていることが多いため、抜歯が必要になることの多いケースです。
4.叢生(そうせい)
叢生は「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれる不正咬合です。これも主な原因は顎のスペース不足。歯が入るスペースを確保できていないため、顎と歯のバランスが崩れてしまい、歯が重なり思わぬ方向へと生えてしまいます。磨きづらく歯垢が溜まりやすいので、虫歯や歯周病になりやすいです。この場合は、抜歯をして顎と歯のバランスを整える歯列矯正を行います。
3.開咬(かいこう)
開咬は、奥歯はしっかりと噛み合っているのに、前歯だけが噛み合わない不正咬合です。治療には抜歯と非抜歯の両方の意見があります。実際の治療法は歯科医院の方針や不正咬合の度合いにより異なりますが、骨格的な要因で開咬になっている場合は、顎のずれを解消しなければならないため、抜歯をして歯列矯正を行う人が多いようです。
抜歯の有無は歯科医の判断に任せましょう
一度抜いてしまったら、二度と生えてこない永久歯を抜歯するのは、とても勇気がいることです。歯列矯正を行う場合、歯並びの状態によって抜歯は必要不可欠なこともあるので、歯科医師に要望を伝えたうえで治療方針を決めていきましょう。