フッ素についてどこまでご存知ですか?効果や安全性を徹底解説

2017.07.29 healthReiko Okabe

フッ素とは?

フッ素は私たちの身の回りにあるごくありふれた元素で、地球の地殻では17番目に多い元素です。主に岩や土など身近なところにミネラルの一種として含まれているほか、魚や野菜などの食品にもたくさん含まれています。

フッ素には虫歯の予防や初期の虫歯を治癒させる効果があり、歯磨き粉やマウスウォッシュなど、オーラルケアに欠かせない製品にも配合されている成分です。

フッ素の効果とは?

歯の質を強くする

歯の表面はエナメル質という物質で覆われています。エナメル質は人間の体の中でもっとも硬い組織で、食事の際に物をかみ砕く役割をはたしてしています。上部なエナメル質も、歯に付着した歯垢(プラーク)に潜むが出す毒素によって、少しずつ溶かされていき、やがては虫歯になっていまいます。

フッ素を歯の表面に塗布することで、エナメル質の97%を構成している「ハイドロキシアパタイト(酸に弱い成分)」にフッ素が入り込み、「フルオロアパタイト(酸に強い成分)」に変化させることで、エナメル質が酸の影響を受けにくくなり、虫歯になりにくい歯になるのです。

歯の再石灰化を促進する

エナメル質が虫歯菌の出す酸の影響によって溶け出す現象を「脱灰」といいます。歯から、「カルシウムイオン」と「リン酸」が歯から溶け出すことにより、虫歯になります。

フッ素には脱灰によって溶け出したカルシウムイオンとリン酸を歯の表面に戻す働きがあり、これを「再石灰化」といいます。歯の再石灰化を促進させる効果から、フッ素は多くの歯磨き粉などに使われているのです。

虫歯菌の働きを弱める

毎日ブラッシングしていても、歯に付着した歯垢をすべて取り除くのには限界があります。歯ブラシで落としきれなかった食べかすをもとにして歯垢ができ、虫歯の原因になります。

フッ素の持つ抗菌作用によって虫歯菌の活動を弱める効果があり、歯に塗布することで虫歯菌が作りだす出す酸の量を減らせます。

フッ素は安全?それとも危険?

フッ素は虫歯の予防に高い効果を発揮する一方で、歯に関するWebサイトの一部では「危険なのではないか?」と騒がれることがあります。虫歯予防グッズとして身近にありふれた存在であるフッ素は、はたして本当に危険なものなのでしょうか?

フッ素症による慢性中毒と急性中毒

フッ素は元素名であり、水や食品に含まれているフッ素のことを「フッ化物」といいます。飲料水などに含まれる「フッ化物」を長年にわたって摂取することで慢性中毒となり、歯の表面に白班や縞模様ができてしまう症状が現れます。これを歯のフッ素症といいます。歯の見た目はよくありませんが、健康的には問題になりません。具体的には適量の約10倍のフッ化物を長期間摂取することで、「慢性中毒」になることが多いようです。

また、一度にたくさんの量のフッ化物を摂取することでも中毒症状が現れます。この中毒症状を「急性中毒」といい、嘔吐や吐き気、腹部の不快感などを発症することもあります。急性中毒になるフッ素の量は、体重1kgあたり5mg前後です。つまり体重50kgの人の場合は250kg程度摂取すると中毒症状が現れてしまう可能性があります。フッ素を含むものを大量に摂取する機会はそれほどありませんが、気を付けておきましょう。

6歳以上ならば虫歯予防に使われる程度なら安全

フッ素は安全性と有効性が確立されているので、6歳以上で虫歯予防に使われる程度ならばほとんど危険性はありません。しかし、間違った使い方をしてしまうと慢性中毒や急性中毒などになる可能性はあるので注意が必要です。

フッ素を正しく使って虫歯を予防しましょう

このようにフッ素は虫歯菌の働きを弱めながら歯の再石灰化を促すことで、虫歯を予防する効果が期待できます。歯科医院では歯にフッ素を直接塗布することもできるので、虫歯になりやすいという人はぜひ試してみてください。

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