熱い飲み物・食べ物で舌をやけどした際の応急処置方法
舌のやけどによる症状
舌のやけどは医療用語で「カタル性口内炎」や「舌炎」と呼ばれます。舌をやけどすると炎症を起こして赤くなったり、味覚を感じにくくなったりする症状が現れます。これは、舌の粘膜がやけどすることで、味蕾(みらい)という味覚を感知する組織が失われてしまうために起こるのです。
また、舌のやけどにも皮膚と同じく重症度があり、以下の3つの分類によってやけどの深さ(熱傷深度)を表しています。
・第1度:
粘膜の表面の損傷。舌がヒリヒリしびれたような感覚やジンジンする痛みがあり、舌が赤く腫れる場合があります。ほとんどは数日で回復します。
・第2度:
粘膜の表層やその直下の層の損傷。痛みが強く、舌が赤く腫れて水ぶくれができたり皮がむけたりします。やけど後は1~2日で水ぶくれが退縮し、2~4週間かけて組織が徐々に回復します。
・第3度:
舌の筋肉まで及ぶ損傷。舌の表面の粘膜が白くなったり炭のように黒く変色したりします。やけどの痕を残さないために、皮膚や粘膜を移植手術することがあります。治るまでに1ヶ月ほどかかる場合があり、後遺症が残る可能性もあります。
私たちが日常的にするやけどは第1度の軽症である場合がほとんどです。舌や口の中のやけどは唾液による殺菌作用により、他の部分と比べて治りが早いのが特徴です。
舌をやけどしたときの応急処置
舌をやけどしてしまった場合、すぐに適切な応急処置を行うことで症状を軽くなることがあります。応急処置の方法をいくつか紹介するので、万が一、舌をやけどしてしまった際はすぐに以下の方法を実践しましょう。
応急処置1:口に冷水や氷を含んですすぐ
舌をやけどしたと感じたら、すぐに冷水で口の中をすすぐようにしましょう。やけどをした際には患部を冷やすのが基本であり、舌も例外ではありません。同時に口の中の食べかすなども取り除くようにしてください。やけどをしていても口の中を清潔に保つことは重要です。そして、大きめの氷を口に含んで患部を冷やすことを心がけてください。
応急処置2:やけどした部分に刺激を与えない
舌を冷やす応急処置に加え、症状を悪化させないように心がけることも大事です。刺激物を避けたり、歯磨きの際にやけどした部位を強く擦らないようにしたりなど、なるべくやけどした部分に触れないように気をつけましょう。
重い症状が出た際はすぐに病院へ
やけどの程度によっては放置すると悪化してしまう可能性があるため、医師の診断を受けた方がいい場合もあります。上記の応急処置を行えるのはやけどの第1度のみなので、症状が重いと感じたら、耳鼻咽喉科のある病院か歯科医院を受診しましょう。
・舌に水泡ができたり、黄色く化膿したりしている
・3日以上経っても症状が改善されない、もしくは悪化している
・発熱をともなっている
・舌が白く、もしくは黒く変色している
・痛みに耐えられない
具体的に上記のような症状がみられる場合は、第1度より深刻な可能性があります。すぐに病院で医師の診断を受けるようにしましょう。
舌をやけどしないために気をつけること
舌のやけどを予防するためには、熱い物を食べるときに注意することが大切です。たこ焼きやクリームコロッケなど、中身が熱い食べ物はなるべく箸で割ってから口に入れるなど工夫しましょう。また、電子レンジで加熱したものは熱さにムラが出ることがあります。そのため、十分にかき混ぜて熱さを均一にしてから食べることをおすすめします。
冷たい物を食べた後や歯科治療で麻酔をした後などは、口の中の感覚が鈍くなってしまいがちです。そうした熱を感じにくくなっているときは、いつもより熱い物を食べるのには慎重になりましょう。