共用はNG?大人用歯磨き粉と子ども用歯磨き粉の違い
知っておきたい大人用と子ども用の歯磨き粉の違い
大人用と子ども用の歯磨き粉の大きな違いはどのようなところにあるのでしょうか。違いは大きく分けて2つです。「味」と、なぜ歯を磨くかという「目的」にあります。子ども用には歯を磨く習慣を嫌だと感じさせないようにフルーツの味がついていたり、大人用には歯磨き後に爽快感が出るようにミント系の味が多かったりするなど工夫が施されています。
大人用の歯磨き粉
虫歯予防のために歯を磨くことはもちろんですが、歯周病予防のため、コーヒーやお茶などのステインを落とすため、口臭やたばこのヤニを除去するためといったさまざまな理由で歯を磨きます。大人になると経年による着色や汚れも多くなるので、ケアが重要になります。
歯磨きである程度着色が落とせるように、大人の歯磨き粉には研磨剤や発泡剤が多く含まれている点が特徴です。
子ども用の歯磨き粉
虫歯予防のために歯を磨くことはもちろんですが、歯質を強くするためのフッ素が配合されているものや、歯の表面を傷つけないために研磨剤が入っていないものなどが多く出回っています。
歯磨きを習慣づけて子どもが長く歯を磨けるように味にもこだわっており、子どもが好みそうな甘めの味(ストロベリー・グレープ・ピーチ)などが多く作られています。
共有しない方がいい理由
大人用と子ども用の違いについてお話しましたが、結論としては同じ歯磨き粉を使用しない方がいいと言われています。子どもが大人用の歯磨き粉を使わない方がいい3つの理由を紹介します。
理由1:研磨剤が多く含まれているものはNG
毎日の食事や飲み物の影響で付着し、磨き残しなどからこびりついてしまった汚れがステインです。歯の着色原因であるステインを落とす研磨剤入りの歯磨き粉は、要注意です。
このステインを除去するための研磨剤は、あまりに強い研磨効果により子どもが使用し続けていると、歯の表面のエナメル質を傷つけてしまう原因に。大人の永久歯と比べて、子どもの乳歯は柔らかくデリケートです。研磨剤が入っていない子ども用歯磨き粉を選び、歯の表面の汚れだけ落とすようにしてあげてください。
理由2:フッ素入りは使用量を注意しよう
歯磨き粉のラベルに「フッ素配合」という文字をよく見かけるかと思います。このフッ素には、歯のエナメル質を強化したり、初期虫歯の修復を助けてくれたりという効果が期待できます。
幼児用歯磨き粉にもフッ素入りのものがスーパーやドラッグストアなどで販売されています。一定量を使用している分には問題ありませんが、大量に摂取したり、長時間にわたり過剰摂取したりすると中毒症状を引き起こす危険性があります。
うがいができずに飲み込んでしまったり、使用量が調整できなかったり、味があるからといって飲み込んでしまったり……とさまざまな理由が考えられます。とはいえ、フッ素入りの子ども用歯磨き粉1回分の10~30mgの歯磨き粉の中に含まれるフッ素はごくわずか。体に害を及ぼすほどの量ではありません。
安全性を優先させるのであれば、フッ素を配合しないものか飲み込んでも危険性が少ないフッ素濃度が低い(500ppm以下)の歯磨き粉を選ぶのがよいでしょう。
理由3:発泡剤や調整剤は子どもには不要である
市販の歯磨き粉の多くはペースト状のタイプです。このペースト状の歯磨き粉には研磨剤の他、発泡剤やph調整剤といった成分が配合されています。発泡剤は、界面活性剤の一種であるラウリル硫酸ナトリウムと呼ばれる合成化学物質です。その名の通り、泡立ちをよくすることが目的となります。
ph調整剤は、食品添加物の一種です。食事をした後の口腔内の酸性度またはアルカリ度を調整するために配合されています。どちらも「歯の汚れを落とす」という本来の歯磨きの趣旨には関係がない成分なので、子どもが使用する歯磨き粉に不要と言えるでしょう。
安全な歯磨き粉で健康な歯を守りましょう!
うまく唾を吐き出すことのできない子どもが大人用の歯磨き粉を毎日使用すると、成分による中毒症状や消化不良、腹痛など身体的な異常を引き起こしてしまうリスクがあるので、あまりおすすめはできません。しかし、大人用を使用してはいけないというわけではないので、親子で兼用する場合は、研磨剤が入っていない歯磨き粉を購入して使うことを意識してみてください。
大人が子ども用の歯磨き粉を使用しても問題はありません。しかし、子ども用よりも大人用歯磨き粉の方が歯周病予防や口臭ケアが期待できる製品が多いので、歯周病や口臭が気になるという方は、大人用の歯磨き粉を選びましょう。
自分に合った歯磨き粉を選択して、いつまでも健康な歯を維持できるように心がけましょう。