“子どもの「生きる力」を育てる歯科”とは?~小児 口腔育成(Vキッズ)症例報告会レポート~

2018.02.21 medicalHa・no・ne編集部T

講演内容

「小児 口腔育成(Vキッズ)症例報告会レポート」
日時:2017年12月10日(日)
会場:貸会議室プラザ八重洲北口
主催:株式会社アイルデンタル

登壇者:
ならまちVキッズ口腔育成センター 上田 哲子代表(歯科衛生士)
ならまちワンネス歯科 西塔 治先生(歯科医師)
神山歯科医院 神山 明子先生(歯科医師)
みのり歯科診療所 内山 睦美先生(歯科医師)

講演会

まったくの初耳だった「口腔育成」の概念とは

初めに今回のコラムタイトルを「小児 口腔育成(Vキッズ)症例報告会レポート」としていますが、おそらく多くのHa・no・neユーザーもご存知ではないであろう口腔育成のコアな話は難しいと思われるので、概念について噛み砕いて説明する内容とさせていただきます。その点はご了承ください。

さて、私Tは口腔育成についてのセミナーを受けてきましたが、この概念自体がまったくの初耳でした。セミナーで聞いた話をかい摘むと、口腔育成とは子どもたちの「生きる力」を育てるための歯科の領域とのことです。それは単に虫歯などの病気を予防するだけでなく、顎口腔頚部系の筋肉や骨格、および機能を育成するという意味合いでもあります。

つまり、口腔育成が全身の基礎を形成するという考え方に基づいており、人の成長において重要な期間である6歳までに子どもの口腔器官を育成することが不可欠とのこと。実は口呼吸や乳歯列の不全、不正歯列の増加など“子どもたちによく生じる異変”の多くは、6歳(小学校1年)くらいの時期に現れると言われています。そのため、きちんと子どもの口腔器官を育んであげることが大切なのです。わが子もまだ6歳になっていないので、決して他人事ではない内容でした。

口腔育成を推進する負荷型装置「Vキッズ」

Vキッズ

子どもの成長の転換期である6歳を迎える前に、きちんと口腔器官の育成を導いてやることが大人の、そして親の使命とも言えます。口腔育成を行うための具体的な手法を世に広めるために、今回のセミナーの主催者であり兵庫県に本拠地を置く歯科技工所、株式会社アイルデンタルでは口腔育成対応の負荷型装置「Vキッズ」の製作を実施。そして、幼少期の口腔育成の大切さを重視するメンバーと協力し、「Vキッズ会」という組織を設立しました。

口腔育成を促すための指導、および装置Vキッズの普及、浸透活動を行っているVキッズ会では、“子どもたちの「生きる力」を育てる歯科”からのアプローチを信条とし、全国の提携歯科医院と協力しながら子どもたちの口腔環境をよくすることを目指しています。Vキッズ会の「Vは精力旺盛で生命感溢れる様子(vigorous)」の頭文字を意味しているとのこと。“口腔環境の成長=子どもの成長”であることを想起させるネーミングです。

Vキッズ自体は一見すると「普通の矯正装置なのでは?」とも思えます。しかし、実体は子どもの噛む力を使って成長する力を引き出す唯一の装置とのことで、口腔育成から過蓋咬合、姿勢、口呼吸、発音の改善を促し、永久歯の生えてくる位置を正常にする効果も期待できるようです。そのため、歯列を整える一般の矯正装置とは一線を画しており、歯を動かしたり、顎を広げたりする機能はありません。Vキッズは3歳から装着が可能であり、現在では約60軒の歯科医院と取引があるそうです。

見直すべき幼少期の口腔育成の重要性

食育について学んでいると、「お口は成長の履歴書」なんて言葉を耳にしますが、まさしく口腔育成においても同様の考え方のようです。たしかに「食べること」「空気を吸うこと」は人間が生きるために不可欠な活動であり、その活動を実現するのが口腔器官になります。そのため、成長するにつれて当たり前のように成長すると思われている口腔器官においても、きちんと大人が成長へと導いてあげることが大切なのだと学びました。自分も子育てにおいて、口腔育成にもう少し目を向けてみようと思います。

自分の全然知らない領域の話であり、今回のセミナーでは正直言って難しい話も多かったのですが、子どもの成長において非常に理に適っている話だったなと感心させられました。なので、このレポートを通して少しでも多くの方に、口腔育成について興味を持っていただけたらと思うHa・no・ne編集部のTでした。

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