重度の虫歯治療において歯の神経を抜く理由

2018.04.13 healthSUE

重度の虫歯で歯の神経を抜く理由とは

虫歯進行の様子

虫歯を治療せずに症状が進行すると歯の奥深くまで浸食され、いずれは神経にまで到達します。もっと早い段階であれば他の治療の選択肢もいくつかありますが、ここまで症状が悪化した場合は、歯の神経を抜く必要が出てきます。
万が一、虫歯菌に冒されて神経が死んでしまった場合は非常に危険です。痛みすら感じなくなります。「これ以上痛みを感じないなら、神経を取る必要はないだろう」と考えるかもしれませんが、神経が機能せず痛みを感知できないだけで、虫歯菌はさらに歯の内部まで蝕んでいきます。そして、最終的には抜歯をせざるを得なくなるのです。
虫歯治療の最終手段である抜歯を回避するためには、神経を除去して歯の内部をきれいに詰めるしかありません。たとえ神経がなくなったとしても、歯自体を残すことはできます。抜歯という最悪の状況を免れるための最後の手段とも言えるのが神経の除去なのです。

神経を抜いた歯における注意点

神経を抜くことで歯そのものを残すことができますが、健康的な歯と比べた場合に強度が劣るため、より手厚いケアが必要になります。神経を抜いた場合は、具体的に以下の内容を気をつけましょう。

注意点1:虫歯になりやすくなる

歯の神経には、虫歯菌や細菌の侵入を察知して未然に防ぐ働きもあります。また、歯が虫歯になってしまった場合は、それ以上細菌が侵入することのないように痛みを発して警告を発するなどの働きがあります。しかし、神経を抜くとそのような防御機能が失われるため、虫歯菌の侵入を感知できなくなってしまうのです。

注意点2:時間が経つと変色する

神経を抜いた歯は新陳代謝が行われなくなるため、少しずつ変色していきます。古くなった物質が溜まるために、少しずつ黒ずんでいきます。健康面だけでなく審美面においても影響が現れるのです。

注意点3:歯が脆くなる

「神経を抜いた歯の寿命は短くなる」と言われますが、それは神経を取り除いたことで周辺の血管まで失われ、十分な栄養が歯にいきわたらなくなってしまうために起こります。歯が割れやすくなり、割れてしまった場合は抜歯の必要性が出てくるでしょう。

注意点4:根尖病巣や歯根嚢胞の原因になる

重度の虫歯によって神経が死んでしまった歯や、以前の歯科治療で神経を抜いた歯に細菌が入り込み、「根尖病巣(こんせんびょうそう)」という病気になることがあります。歯根の先端に膿が溜まり、そこから歯ぐきや歯の隙間などを経由して排膿(膿が出ること)の症状が発生します。
同じく歯の神経への細菌の繁殖によって、膿の袋ができる「歯根嚢胞(しこんのうほう)」という病気になる場合があります。こちらも根尖病巣と似た症状が現れ、歯ぐきから膿からの膿や腫れ、痛みを伴います。

歯の神経を抜かなければいけない虫歯以外の症状

歯の神経を抜く可能性があるのは、虫歯が進行したときだけではありません。「歯がしみる」「歯が痛む」という症状が起きる知覚過敏の症状がひどい場合も神経を抜くことがあります。

知覚過敏

冷たい物を口に含むと歯がしみるという知覚過敏。知覚過敏の症状が悪化すると、たとえば風に当たっただけでも歯がしみるようになることも……。軽度の知覚過敏であれば神経を抜くことはありませんが、重度になると日常生活に支障が出るため、神経を抜く処置を行う場合があります。

虫歯は早期発見・早期治療を

虫歯治療

重度の虫歯になると最終的に神経を抜くか抜歯をするかの選択を迫られます。その判断基準は歯科医師によって異なり、虫歯が重症化しても歯根に対して行う根管治療によって神経を残す処置を施せる可能性があることを覚えておきましょう。
もし、提案された治療方法に納得がいかないときには、別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることもおすすめします。可能な限り大切な歯を失わないための治療法を模索すべきです。
しかし、一番大切なのはまずは「虫歯にならない、虫歯を進行させない」ということ。生涯自身の歯で食事を楽しむためにも、虫歯の早期発見・早期治療を心がけましょう。そのためには歯科医院での定期検診を受けるなど、日ごろから自身の歯の健康について意識することが重要です。

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