“エラ張り”の一因とされる咬筋肥大症はどうすればいい?

2018.04.16 health福本春香

咬筋ってどんな役割の筋肉なの?

咬筋は咀嚼筋(そしゃくきん)の1つで、その名の通り咀嚼(物を噛む)の際に使われる、下顎の運動に関わる筋肉です。顔の筋肉の中ではもっとも大きく、左右の頬の下あたりからフェイスライン全体に位置しています。食べ物をすりつぶすことができる咬筋にとても強い力があり、何十kgという重さにも耐えられると言われています。

そういった大きなパワーを発揮できる反面、凝り固まってしまうと顔にも大きな影響を及ぼします。肩凝りをイメージするとわかりやすいかもしれませんが、凝り固まった筋肉はボコッと盛り上がります。咬筋が凝り固まるとフェイスラインが盛り上がり、エラが張ったように見えてしまうのです。

フェイスラインの崩れは老廃物の溜まりを招きやすく、たるみにつながったり血流が悪くなってお肌の弾力が低下したりします。美容のためには、凝りを防いでしなやかさを維持する必要があります。

咬筋肥大症とは

咬筋肥大症の場合、エラの張り方が左右対称ではなく、片方だけに顕著に表れます。その主な原因と症状は次の通りです。

主な原因

咬筋肥大症は歯ぎしりや食いしばりが主な原因です。長時間にわたって咬筋に負荷がかかった状態が続くと、緊張状態になった筋肉に乳酸などの老廃物が蓄積していきます。これらが長期間排出されずにたまった状態が「咬筋の凝り」です。

ストレスが多く寝ている間に歯ぎしりや食いしばりがある場合、朝起きた時に顔(顎)が痛むという場合は要注意。また、常にガムを噛んでいたり硬い物ばかり食べたりしている場合も、咬筋肥大症のリスクが高まります。

主な症状

咬筋が緊張して硬くなると、徐々に厚みが出てエラが張ったように見えます。特に歯を食いしばった時にボコッとした腫瘤(しゅりゅう)が目立ち、触ると硬さを感じます。頬骨が目立ったり、頬がこけて見えたりするケースも多いようです。また、頭痛や肩凝り、顔のむくみなどが見られることがあります。さらに、血行不良などによるくすみなどの肌トラブルも招きます。

咬筋肥大症を解消するために

それでは、咬筋肥大症を解消したり症状の悪化を防いだりするにはどうすればいいのでしょうか。効果的な治療法や予防法について紹介します。

ボトックス療法

ボツリヌス菌から抽出されるタンパク質を緊張している筋肉に注射し、一時的に凝りをほぐす療法です。症状が重い場合に行われることがあります。3回程度繰り返すことで効果は高まり、半年から1年間ほど効果が持続するとされています。食いしばりや歯ぎしりの緩和、それらにともなう頭痛や肩こりの緩和にも有効です。

マッサージ

プロによるフェイシャルマッサージや自身で行うマッサージも効果的です。顔の筋肉をほぐすことで、咬筋肥大を緩和したり予防したりすることができます。自身でもできる簡単なマッサージは以下の3つです。

・その1:耳たぶ回し
両側の耳たぶをつまんで優しく後ろ向きにまわします。その揺れに連動して咬筋をほぐすことができます。

・その2:息を吐く運動
息を吐くことで筋肉は緩みます。咬筋がある頬の部分に手をそっとあててゆっくりと大きく息を吐きましょう。

・その3:揺らし運動
片方の頬を反対側の手で包み込むように触れ、空いているほうの手をブランブランと揺らします。この揺れが咬筋に届くことでほぐれが期待できます。

マウスピースの装着

マウスピースを装着して歯ぎしりや食いしばりを予防する方法もあります。特に寝ている間は無意識に歯を食いしばっていることがあるので、睡眠中の装着を継続することで咬筋の肥大を防げます。

ストレスの緩和・解消

咬筋肥大症の原因となる歯ぎしりや食いしばりは、そもそもストレスが原因となっていることがほとんどです。そのため、根本的な原因解決のためには日常的に受けているストレスの緩和・解消へのアプローチも重要と言えます。

顔の筋肉をほぐすことを意識しよう

鏡をみる女性

筋肉(咬筋)の凝りが原因で起こる咬筋肥大症。「凝り」に自覚はなくても、少しずつ蓄積されている可能性があります。スッキリしたフェイスラインを維持するためにも、普段から顔の筋肉をほぐすことを意識しましょう。

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