噂の真相究明!味覚の影響で食事量が変わるのは本当?
味覚が鈍くなったときの食事への影響
一般的には、年を重ねるにつれてあっさりとした食事を好むようになると言われています。若い頃は焼き肉が大好きだった人が、次第に和食を好むようになることは少なくありません。しかし、年を重ねてから濃い味付けを好むようになる人がいることもまた事実です。
この味の好みの変化は、老化による味覚の衰えが影響していると考えられます。年を取ると誰でも味覚が鈍くなり、同じ味付けでも味が薄く感じるようになります。これは、味を感知する味蕾の細胞が減少することが原因だとされています。
味覚は、塩味、甘味、苦味、酸味、うま味の5つから構成されています。そして、これらのうちでもっとも感度の低下を自覚しやすいのが塩味です。塩味を感知しにくくなると、無意識のうちに料理の味付けが濃くなります。また、食事をするときにはより多くのソースや醤油を使うようになります。そうすると塩分摂取量が多くなり、高血圧などの原因となります。
また、甘味に対する感度が鈍くなると「甘さ控えめ」では物足りなくなります。その結果、より甘いお菓子を欲するようになるのです。しかし、糖分の摂り過ぎは肥満や糖尿病をはじめとした生活習慣病につながるので注意しましょう。
もちろん、味覚が鈍くなる原因は老化だけではありません。偏食やダイエットに起因する亜鉛不足や舌の汚れ、ドライマウス、薬の副作用なども私たちの味覚を変化させます。特に亜鉛不足によって味覚が変化している人は多く、若い人でも味覚の感度の低下に悩まされている人は少なくないようです。
塩分の摂りすぎで太る理由とは
「甘い物を食べ過ぎると太る」というのは、周知の事実だと思います。しかし、味覚が変化して塩分摂取量が増えることによっても体重が増えることがあります。ここでは、その理由についてまとめました。
理由1:体がむくむ
私たちの体の細胞は、塩分を一定濃度にしようとする働きがあります。つまり、塩分を摂取すればするほどより多くの水分を取り込もうとするのです。そのため塩辛いものを食べる習慣は慢性的なむくみにつながり、結果として太る原因となってしまうのです。
理由2:セルライトができやすくなる
塩分過多によって体がむくむ状態が続くと、セルライトができやすくなります。なぜなら、セルライトは脂肪の周辺に水分や老廃物が溜まることによってできるからです。セルライトにはいくつかの種類がありますが、むくみが原因でできるセルライトは「むくみ型セルライト」と言われており、特に女性にできやすいとされています。
理由3:塩分を摂ると食欲が増す
しょっぱいものを食べると体重が増える原因として、塩分を摂ると食事量が増えるということも挙げられます。オーストラリアのディーキン大学のラッセル・S・J・キースト博士らが行った研究でも、そのことが証明されています。
ラッセル博士らが18~54歳の健康な男女を対象に行った実験では、塩分が多い食事をとると食欲が増し、摂取エネルギー量が平均11%増えることが明らかになりました。このことから、塩分そのものはもちろんのこと、塩分の食欲に対する影響も体重が増える大きな原因だと言えるでしょう。
肥満の人は甘みを感じにくいって本当?
また、アメリカで行われたとある研究によって、驚くべき事実が発見されました。それは、「肥満の人は甘みを感じにくい」というものです。
ねずみを使った実験では、痩せたねずみよりも太ったネズミのほうがより甘みの強い砂糖水を欲しがったそうです。そして、甘い砂糖水を摂取し続けたねずみはさらに甘みの強い砂糖水を求めるようになり、ついには糖尿病になってしまったそうです。
これは、肥満になると甘みを感知する味覚受容体が減ってしまうためだと言われています。肥満が脳に変化をもたらすことは以前から知られていましたが、それだけではなく味覚受容体にも影響を与えるのだそうです。
甘い物を食べて肥満になると甘みを感じにくくなり、より甘みの強いものを求めるようになります。そうすると、さらに肥満になってそれまで以上に甘い物を欲するようになってしまいます。この悪循環から逃れるためには、正常な味覚を取り戻す必要があると言えるでしょう。
健康を守るためにも味覚の改善を
味覚の変化を感じても、そのまま放置してしまう人は多いようです。しかし、味覚は日々の食生活に楽しみをもたらすことに加え、私たちの健康を守る役割も果たしています。正常な味覚を保つためにも、まずは食習慣から見直してみてはいかがでしょうか。