歯科衛生士が教える歯の健康を守るガム3選

2018.03.11 healthショウコ

ガムを噛むことの効果とは?

現在、各メーカーから歯磨きガムなど歯に良さそうなガムが数多く発売されていますが、実は歯磨きの代わりになることはありません。歯についた汚れやプラークは、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを使って歯磨きをしないと落とすことはできないのです。それでは、ガムに期待できる効果とは何なのでしょうか?それは、ガムを噛むことによる唾液の分泌量を増やす効果です。

虫歯や歯周病の原因

唾液について知る前に、まずは虫歯や歯周病の原因について覚えておきましょう。そもそも、虫歯は、虫歯の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンスが、お口の中に残っている甘いものなどをエサにして酸を発することで、その酸によって歯を溶かされることによって起こります。

そして、歯周病は、歯周病菌が歯を支えている組織に炎症を起こし、歯肉を腫らせたり、歯を支えている歯槽骨という骨を減らしたりする病気です。これは、大人になってから歯を喪失する原因の1位にランクインしており、虫歯よりも上位のためケアが不可欠だと言えるでしょう。

唾液の効果

唾液にはさまざまな働きがあります。まず、虫歯を防ぐ唾液の作用としては、乳酸を中和してお口の中の環境を中性にする近づける作用や、酸によって溶かされた歯の修復を手助けする再石灰化作用です。また、抗菌作用やお口の中の汚れを洗い流す作用もあります。そして、歯周病を防ぐ作用としては、汚れを落とし、歯周病菌を減らす働きがあります。

ガムを噛むと、その刺激で唾液の分泌量が増えます。これにより、あくまでも間接的ではありますが、虫歯や歯周病を防ぐ効果が期待できるということです。ガムの種類にもよりますが、お口の健康のためには効果的と言えるでしょう。ここからは、歯に良いとされるガムについてそれぞれの成分や期待される効果などを見ていきましょう。

種類1:キシリトールガム

キシリトールは、甘味料の一種です。甘いものを食べると、虫歯になるというのは、よく耳にする話ですが、甘さがあるキシリトールは、虫歯の原因にはなりません。
これは、キシリトールは、ミュータンス菌に代謝されにくい、つまり酸を作り出しにくいという特性があるからです。キシリトールガムは、甘み成分としてキシリトールを配合したガムですがお好きな方も多いでしょう。キシリトールガムには、唾液の分泌を促し虫歯を予防して、お口の健康を保つ働きがあるのです。しかし、キシリトールそのものには、再石灰化作用は認められていませんので、虫歯を治す作用はありません。

種類2:リカルデントガム

モンデリーズ・ジャパン株式会社が発売するリカルデントガムは、CPP-ACP(カゼインホスホペプチドとアモルファスカルシウムホスフェートの複合体)により歯の再石灰化を促進する作用のあるガムです。ミュータンス菌によって歯の表面が脱灰されると、歯に含まれている成分が溶け出してしまいます。このとき、歯をきれいに磨いてプラークや酸を脱灰されたところから取り除きますと、唾液の成分によって再石灰化が始まりますが、リカルデントガムを噛むとCPP-ACPに含まれているリン酸カルシウムが歯の内部に浸透します。

このリン酸カルシウムがエナメル質のもととなって、再石灰化を促進。この作用こそが、リカルデントガムは「虫歯の始まりを抑制する」と言われている所以なのです。

種類3:POs-Ca(ポスカ)

江崎グリコ株式会社が発売するポスカとは、POs-Ca成分によって歯の再石灰化を促進するガムです。

POs-Caとは?

ポスカとは、正式にはリン酸化オリゴ糖カルシウムと言います。これは虫歯の原因となる酸を作り出さないオリゴ糖で北海道産のジャガイモから作り出されました。そのため、虫歯予防には最適です。

POs-Caはどのように働くの?

脱灰されて歯の成分が溶け出した歯を磨いてきれいな状態にすると、唾液の成分によって再石灰化のプロセスが始まります。このとき、ポスカには唾液の緩衝作用を助けて、お口の中を中性に近づけてくれます。そして、脱灰されたところにカルシウムを効率的に届けて再石灰化を促進させたり、エナメル質を再結晶化させたりすることで自然に修復させます。これは、実証実験でも裏付けられています。

意識的にガムを噛むことでお口の健康を守りましょう

ガムを噛むと唾液の分泌量が増加します。この点はいろいろなガムに共通することですが、中には成分を工夫し、虫歯や歯周病を抑え、お口の健康も守ろうというガムもあります。代表的なものが、今回紹介したキシリトールガムやリカルデントガム、ポスカです。

キシリトールガムは虫歯を予防効果、リカルデントやポスカは初期虫歯を修復する効果という違いがあります。ガムを噛むことで唾液の量を増やし、唾液の働きを高めると同時に、その成分による効果も加味してお口の健康を守りましょう。

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