歯列矯正の治療を中断することのリスクと影響
歯列矯正を中止したときの費用
歯列矯正はほとんどのケースで自由診療に該当するため、費用が高額になる傾向があります。そのため、治療を中断にするにあたって「費用が返還されるのか」はかなり重要なポイントです。
基本的には、歯医者側が請求できるのは「実際に行った治療の費用」のみ。最初に一括で支払いを済ませたとしても、まだ行っていない治療の分の費用は返還されることが多いようです。
とはいえ、契約書の内容は歯医者によって異なります。契約内容によっては、治療を中断しても費用が返還されないことも考えられます。歯列矯正を開始するときには、この点においても事前にきちんと確認しておきましょう。
矯正器具を外した後の歯並びはどうなる?
「歯並びが整ってきたら、そろそろ矯正器具を外してもいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、完全に歯列矯正が終了する前に矯正器具を外すのはとても危険だと言えます。なぜなら、歯は元の場所に戻る力が強く、どんなに長い年月をかけて歯並びを整ったように見えても、しっかりと見極めなければ再び乱れてしまう可能性があるからです。
実際のところ、途中で矯正器具を外した際の歯並びへの影響は専門家でも予測が難しいのが現状。たとえば、矯正器具を使って大きく歯を動かしている場合、歯列矯正をやめたとたんにたちまち大幅な後戻りを起こす恐れがあります。
矯正器具を外した際の歯並びへの影響は、矯正治療を続けた期間や動いた距離、もともとの歯並びなどさまざまな要素が関係します。どちらにせよ、歯列矯正を途中でやめてしまうのは得策ではないと言えるでしょう。
どうしても中断せざるを得ないときの対処法
歯列矯正は治療期間が半年から数年ととても長いため、ライフイベントなどによってどうしても継続できないという状況になることもあります。たとえば、長期の海外留学を決めた場合などです。そういうケースでは一時的に治療を中断し、通院が可能になり次第治療を再開するといいでしょう。
治療を中断している間は、後戻りを防止するための「リテーナー」という装置を利用します。これを使用することによって、現在の歯並びが元に戻るのを防ぐことができます。なお、リテーナーの使用を怠って歯が動いてしまうとリテーナーが合わなくなってしまうので、必ず継続して使用するようにしましょう。
このように、万が一の場合に歯列矯正を中断する方法はないわけではありません。しかし、一度中断することによって本来よりも仕上がりが悪くなってしまうリスクが高まります。どうしようもない状況でない限り、歯列矯正は中断しないことをおすすめします。
歯列矯正は最後まで終わらせる覚悟が必要
歯列矯正は、途中で治療をやめてしまったらすべてが台無しになります。「半年治療を続けたから半年分歯並びが改善する」というものではありません。治療に費やした時間も費用も、すべてが無駄になってしまうのです。
そのため、歯列矯正は一度始めたら最後までやり通す覚悟が必要です。長期間治療を継続する覚悟がないのであれば、歯列矯正は始めるべきではありません。歯列矯正を始めたいと考えている人は、そのことも踏まえたうえでよく検討してみてください。痛みが理由でやめたい場合は、主治医に相談して痛みを軽減できる方法を提案してもらえるので、しっかりと取り組んでいきましょう。