若い女性に人気のセラミック矯正の落とし穴とは~ちぃ先生の手記第14回~

2018.12.06 medicalちぃ先生

人気のセラミック矯正とは

セラミック矯正が人気を集めているワケ

近年、SNSの美容系アカウントの人気の高まりもあり、インターネットを介して美容の知識を幅広く簡単に入手することができるようになりました。その影響もあり、今まで以上に美意識が高い人が増え、「歯並びや歯の色をキレイにしたい!」と口元の見た目の向上に多くの人が目を向けるようになってきました。そうした時代の流れもあり、女性を中心に美意識が高い人から注目を浴びているのがセラミック矯正です。

セラミック矯正は、歯に白い陶器(セラミック)を被せることで歯の審美性と機能性を高める施術です。歯並びが整い、さらに本来の歯の色よりも白いセラミックを入れることで口元の審美性がかなり高まるので、施術を希望している人が増えています。早ければその日のうちに、という短時間でそうした美しい歯の見た目を手に入れられることも人気の理由です。

通常の矯正治療は100万円近い費用がかかり、さらに治療が2〜3年とかなり長期間にわたります。費用と期間がかかるという理由で、矯正治療をあきらめたという方も少なくないでしょう。そうした方が、「わずか2時間で矯正ができる!」という謳い文句のフレーズに惹かれ、セラミック矯正を希望するのは無理もありません。ただ、数年にわたり継続する治療がわずか2時間でできる理由についてはくわしく知る必要があるでしょう。セラミック矯正は当然ながらメリットだけではないので、リスクに関しても把握しておくことが大切です。

事前に理解しておきたいセラミック矯正のリスク

セラミック矯正は歯にセラミックの被せ物を装着するだけなので、短期間で治療が完了し、歯の見た目を本来の色よりも白くすることができます。しかし、セラミック矯正は上からセラミックを被せやすいように歯の形を元々の原型がわからないくらい大きく削ることがあります。この点をきちんと理解していない方が多い印象です。自身の歯を大きく削るので歯の寿命が短くなったり、しみやすくなったりしてしまいます。つまり、審美性は大きく向上しますが、歯の健康を害する危険性があるということです。

セラミック矯正は保険適用外のため、自費診療で高額な治療費がかかります。そのため、費用的にも負担はかなり大きいので、誰もが気軽に受けられるというわけではありません。しかし、最初から矯正治療を受けようと考えている人であれば、治療費に関してはある程度計算しているはずです。そこに「すぐに歯並びが良くなる方法がある」と案内されたら、惹かれてしまう方もいるでしょう。セラミック矯正は、歯科医院にとっても売上につながるため、あまり悪くは言わないのも危機意識が高まらない要因だと言えます。

説明を聞いて、「短時間で終わるのなら」「歯が白くなるなら」とよくわからないまま治療を受けることだけは止めましょう。「セラミック矯正をどうしてもやりたい」という場合は、きちんとリスクも含めて納得できる説明を事前に受けたうえで臨むべきだと言えます。少なくとも歯を削るということは、将来的な健康を害する危険があることを認識しておく必要があります。

歯を健康に保つために

歯を削ることの意味を考えたうえで施術を

口腔内

歯を削って寿命が縮むことは、歯を失うリスクが高くなることを意味します。多くの方は「1本くらい歯がなくなったって他にもたくさんある」と考えるかもしれませんが、歯を1本失うだけでも途端に周囲の歯の歯周病が進行したり、噛み合わせが乱れて顔貌が変わってしまったりするのです。失った歯の治療にも多額の費用がかかりますし、メンテナンスも簡単なことではありません。

そのため、自身の歯を長期間にわたり健康な状態で保つことが大切とだと言えます。人生100年時代と言われているように、人々の寿命が長くなった分、歯の寿命のことも考えて大切にケアを続けていきたいところです。セラミック矯正で自身の歯を削ってセラミックを被せたとしたら、真新しいうちは見た目も噛み心地も良いかもしれませんが、セラミックの寿命がきたときは歯がボロボロになっているという悲劇が待っている可能性もあります。

よく歯磨きが面倒だから、いっそのこと総入れ歯にしたいという方や、歯の色が黄ばんでいるので全部被せ物に変えたいと考える方もいるのですが、歯科衛生士から見ると、歯が弱くなって寿命が縮んでしまうのでよく考えていただきたいと思います。芸能人のように歯をすべて真っ白にする必要はないと思いますし、時間がかかっても歯並びを根本的に変える歯列矯正の方が、噛み合わせもしっかりして骨格もキレイに整うことは確かです。

❤ちぃ先生から一言❤まずはお口のケアの徹底で自然な美しさを

セラミック矯正自体を悪く言うわけではありませんが、審美性ばかりを追い求めて自身の歯を削り、歯の寿命を縮めてしまうことは好ましくありません。少なくとも歯を削るリスクや将来的なお口の健康は考えておくべきかなと思います。私なら、歯列矯正をしてEラインを整えて、ホワイトニングで自然に歯を白くしたいなと思います。ホワイトニングも最近では医療機関でないグレーなサロンで行われることが多くなりましたが、私はあれも何かあった時に専門家による対処ができないので好ましくないなぁと思っています。

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【ライター紹介】 ちぃ先生

ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~

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