「妊娠性歯肉炎」に要注意!男性より女性が歯周病にかかりやすい理由~ちぃ先生の手記第58回~

2019.07.06 dhちぃ先生

3回も!?女性がなりやすい歯周病の周期とは…

男性よりも女性の方が歯周病にかかりやすいのはなぜ?

男女比



まず“歯周病”には、歯槽骨に炎症が波及し歯が抜け落ちる「歯周炎」だけではなく、歯茎の表面の肉(歯肉)が腫れる「歯肉炎」の2つの意味があります。
そして、最近の研究では、歯周病の悪化には女性ホルモンの関与が大きいという結果が出ています。女性ホルモンがある種の歯周病原細菌の増殖を促すためで、昔は「一子を得ると一歯を失う」とも言われていたほど……。特に女性ホルモンの変動しやすい妊娠時は歯肉炎になりやすいため、気をつけて管理しなければなりません。

妊娠性歯肉炎+歯周病リスクが高まる3周期

女性ホルモン



卵巣が働きを開始する「思春期」、大量に女性ホルモンが分泌する「妊娠・出産時」、ホルモンが低下して閉経に向かっていく「更年期」と、大きく分けて3回の周期で女性ホルモンのバランスに乱れが生じます。
また、普段の月経周期でもホルモンバランスは変化するため、生理前に歯茎が腫れることもあるでしょう。女性ホルモンのバランスが乱れると、体調や気分に変化が生じるように、お口の中の状態もゆらぎやすいので、歯肉が腫れていないか鏡でチェックするようにしましょうね。

中には「歯肉が腫れていても今まで平気だったから」とそのままにしている方もいるかもしれません。しかし、妊娠中の歯肉炎には特に注意する必要があります。妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、低体重児および早産の危険度が高くなり、その危険率は7.5倍にも上昇します!これは妊娠中のタバコや飲酒、高齢出産よりも影響を受けやすいということに……。
生まれてくる大事な赤ちゃんのために、重度の歯周病にならないよう、しっかり歯周病予防をおこないましょう。

歯肉炎にならないために気をつけるべきポイント

歯周病ケア



妊娠時には、つわりなどもあり、口腔ケアが十分におこなえないこともありますよね。そんな時のために母子手帳にも添付されている、無料の妊婦歯科検診を活用しましょう。歯科医院にて、適切な検査やクリーニング、歯みがき指導などを受けることができるので妊婦さんにとって、心強い味方です。

また、歯周病が全身疾患と密接な関係があることもお忘れなく!特に、昔から歯周病は糖尿病の合併症の1つだと言われているように、糖尿病とは相互に悪影響を及ぼしています。歯周病になると糖尿病が悪化し、糖尿病では歯周病の罹患率が高いと考えられています。
また、歯周病の治療をすることで、糖尿病が快方に向かうこともわかっています。糖尿病は男性患者も多いので、男性も当然、歯周病のリスクを持っています。
歯周病も糖尿病も生活習慣病ですので、食生活や歯みがきのクセなど生活習慣を見直して最低でも半年に一度は歯科医院を受診し、生活習慣も含め口腔内のケアを受けるようにしてくださいね。

赤ちゃん


❤ちぃ先生から一言❤妊娠中は、意識的にプラークコントロールをおこないましょう!

妊娠性歯肉炎が起こりやすい状態であっても、基本的にはプラークの少ない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度で済む傾向にあります。なので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールをおこなうことが必須です。もちろん、生活習慣の見直しも重要!
それに、歯周病のリスクは喫煙や高血圧、糖尿病なども大きな要因……。男性は「リスクが少ない」というわけでもないので、夫婦一緒に注意しましょうね。

【ライター紹介】 ちぃ先生
ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~

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