もろく虫歯になりやすい歯が生える 「エナメル質形成不全」とは?

2019.12.23 health小晴

虫歯リスク・歯が欠けるリスクが上昇

エナメル質形成不全になる原因

エナメル質形成不全



エナメル質形成不全とは、歯のエナメル質に問題が生じた状態です。乳歯にも永久歯にも見られますが、主に永久歯の前歯、6歳前後で生える奥歯の「6歳臼歯」にあらわれることが多く、黄色っぽい変色や歯がもろく、柔らかくなっていることが特徴です。

エナメル質形成不全になる原因は、以下のようなものと考えられています。


・ビタミン不足や栄養障害
・ホルモン異常
・遺伝
・妊娠中の母親の疾患や服薬
・出産時の障害
・早産
・生後1-3年以内の疾患や抗生剤の投与


ただし、どれも決定的なものとは言えず、現段階でははっきりとした原因はわからないとされています。また、乳歯の時期に外傷や大きな虫歯があった箇所は、後から生える永久歯にエナメル質形成不全が起こることもあります。

普通の歯よりも虫歯になりやすい

もろい歯



歯はエナメル質、象牙質、歯髄の3層構造でできています。エナメル質は歯の一番外側(表面)を覆う部分で、厚みは約2~3mm程度。人体の中でもっとも硬い組織と言われています。

通常は硬く丈夫なエナメル質ですが、強すぎるブラッシングや硬い食べ物で細かい傷がついたり、歯垢から出る酸で内部のミネラル成分が溶け出したりすることでダメージを受けます。そこから初期虫歯になり、進行すると穴が開く本格的な虫歯につながります。

エナメル質形成不全の歯は、そのエナメル質が生まれつき通常よりも柔らかくもろい状態。当然、普通の歯よりもダメージを受けやすく、虫歯になりやすくなります。「子どもの虫歯は親の責任」と考えられがちですが、エナメル質形成不全の歯は丁寧に歯磨きをしていても、甘いものやジュースなどを与えていなくても虫歯になりやすい歯と言えます。

また、柔らかくもろいエナメル質形成不全の歯は、普通の歯よりも欠けやすいのが特徴です。ぶつけたときだけでなく、噛み合わせの力が加わるだけで欠けることもあります。特に、エナメル質形成不全があらわれやすい6歳臼歯には常に強い力がかかっているため、欠けるリスクが高くなります。

エナメル質形成不全の治療法

治療法



エナメル質形成不全の治療は歯科医院でおこないます。軽いエナメル質形成不全であれば、フッ化物塗布により再石灰化を促し、経過を観察します。

すでにエナメル質が欠けている場合は、レジンと呼ばれるプラスチック材料で補強します。大きく崩れる前に小さな補強をすることで長持ちさせられるため、早めの治療が大切です。

エナメル質形成不全の歯は黄色や茶色に変色しやすく、審美面が気になることも少なくありません。見た目が気になる場合は、歯を削って、表面や全体をセラミックで覆う治療を選択することもあります。

自宅でできるケアとは

自宅でのケア



エナメル質形成不全の歯は虫歯のリスクが高くなるため、自宅でのケアが重要です。特に自分で上手に歯磨きできない子どもの場合は、親が毎日仕上げ磨きとフロスをおこなう必要があります。ただし、強くブラッシングするとかえって歯を傷つけてしまうため、歯磨きは優しくおこないましょう。

子どもの永久歯にエナメル質形成不全が見られる場合は、その歯が他の歯よりも虫歯になりやすいことを伝え、ケアの方法を教えます。将来虫歯をつくらないために、子どものうちにケアの仕方を覚えてもらいましょう。

エナメル質形成不全の方におすすめしたいのが、フッ素ジェルやフッ素洗口液でのケアです。毎日フッ素を取り込むことで歯質が硬くなり、虫歯になりにくくなります。

気になる場合は早めに歯科医院の受診を

歯科医院



「歯が欠けている」「黄色/茶色に変色している」などの自覚症状があれば、すぐに歯科医院を受診してください。エナメル質形成不全であることが早めにわかれば、歯を失う前に治療が可能です。気になるところがある方は、ぜひ歯科医師にチェックしてもらいましょう。

【ライター紹介】 小晴(こはる)
小晴

出版社での美容雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。2018年より唐突にパーソナルカラーの世界にハマり、イエベメイクの研究に日々勤しんでいる。現在は化粧品検定1級の取得を目指し奮闘中。

Blog:https://koharu0401.amebaownd.com/

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