歯科後進国脱却!?日本の80歳、残存歯20本以上が5割超

2017.06.26 newsHa・no・ne編集部 編集長I川

調査開始以来、初の50%超を記録

おじいちゃん

厚生労働省が1957年以降6年ごと(今後は5年ごとに変更)に実施している「歯科疾患実態調査」の最新版(2016年のデータ)が2017年6月に発表されました。今回の調査結果では、80歳で20本以上自身の歯が残っている方の割合が前回の40.2%から51.2%に上昇していることがわかりました。

歯科保健状況の把握における必要な資料を構築するために行われている同調査ですが、最大の注目ポイントはズバリ、この“80歳時点での残存歯数”です。日本はスウェーデンやアメリカなどの歯科先進国に比べ、この80歳時点での残存歯数で後れを取っています。

たとえば、スウェーデンであれば80歳での平均残存歯数は平均して20本。対する日本は14本であり、その差はまだまだ大きいと言えます。しかし、今回の調査によって80歳で20本以上自身の歯が残っている方の割合が半分以上であることが判明したことで少しずつではありますが、歯科先進国との差が縮まりつつあるようです。

「8020運動」の成果が徐々に現れる

遊ぶ高齢者

日本では1989年より、当時の厚生省と日本歯科医師会のもと、「80歳になっても20本以上自身の歯を保とう」という「8020運動」が推進されてきました。歯が20本以上あれば、食生活において不自由することがないと言われているため、「生涯にわたり自身の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いからこの運動が開始されました。

「8020運動」開始当初は達成者の割合が1割に満たない時期もありました。しかし、懸命に啓蒙活動を続けることで右肩上がりにその割合が増加。そして、晴れて2016年版の結果で半分を超すことができました。日本の80歳の2人に1人は歯が20本以上残っているという素晴らしい結果は、国や日本歯科医師会を中心とした地道な啓蒙活動の賜物というわけです。

また、厚生労働省はこの結果を受け、「8020運動」を筆頭に歯科口腔保健施策についてより力を入れていきたいとの意向を示しています。今後のさらなる好結果を期待したいところです。

目指すは歯科後進国からの脱却

世界有数の経済大国でありながら、歯科後進国と揶揄されていた日本ですが、変化の兆しが見えてきました。歯科後進国を完全に脱却してスウェーデンやアメリカなどの歯科先進国に近づくためにも、国民の歯の健康に対する意識、予防への意識をより高めていかなければなりませんね。

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