舌がイチゴのようにブツブツになる溶連菌感染症とは

2017.09.03 healthReiko Okabe

溶連菌感染症はイチゴのような舌になる

溶連菌感染症は主に“A群レンサ球菌(化膿レンサ球菌)”という細菌が原因で起こります。この細菌が喉に感染し、まずは咽頭痛が起こります。そして、治療をせずに放置してしばらく経つと舌に白くて細かい滲出物(しんしゅつぶつ)が見られるようになり、さらに時間が経つと滲出物の外被が脱落して赤くなり、イチゴのような舌になるのです。

溶連菌が原因でイチゴ舌を発症するまで概ね2~4日と言われています。潜伏期間に他人に移してしまう危険性はありますが、高熱が出始めたタイミングがもっとも感染力が強いということなので、体に異変を感じた場合はすぐに病院に足を運びましょう。

溶連菌感染症のその他の症状

高熱・咽頭痛・発疹

発症してから初期の段階では、咽頭痛や高熱がなどの症状が現れますが、風邪ととてもよく似ているため、この段階で溶連菌感染症だと判断するのはとても難しいとされています。しかし、風邪と少し異なった違和感のようなものを感じる人は比較的多いようです。

その後、症状が悪化すると手首や首、股関節などに細かな赤い発疹ができます。この状態になると、風邪とは異なることに気づきやすくなります。また、嘔吐や食欲不振、頭痛などの症状が出ることもあると言われています。

全身症状が現れる

溶連菌が皮膚に感染した場合は、とびひや“蜂窩織炎(ほうかしきえん)”などの症状が現れることがあります。体の奥の部分に感染した場合は、髄膜に炎症があらわれる“髄膜炎”や臓器不全などの全身症状をともなう“敗血症”などの全身感染症になることもあります。

合併症も考えられる

溶連菌感染症から合併症が現れる確率は、全体の約1%以下だと言われています。しかし、100人に1人が合併症を引き起こすかもしれないという事実は、十分注意すべきと考えるべきでしょう。さまざまな合併症が考えられますが、今回は代表的な3つの合併症をご紹介します。

1.急性糸球体腎炎
溶連菌感染症が治りかけたタイミングで血尿が出たり、全身がむくんでいたりするように感じた場合は、急性糸球体腎炎を起こしている可能性があります。溶連菌に感染してから、10日程の潜伏期間を経て合併症として発症することが多いようです。この病気においては塩分や水分の制限、利尿薬や降圧薬などの投薬治療を安静な状態で行う必要があるため、入院することになります。

2.副鼻腔炎
溶連菌感染症の症状とともに、鼻水や鼻詰まりが気になるときは副鼻腔炎を起こしていることがあります。副鼻腔炎は溶連菌によって副鼻腔が炎症を起こすこと生じます。

3.リウマチ熱
15~18歳前後で溶連菌感染症になった場合は、リウマチ熱の症状が現れることが多いと言われています。リウマチ熱の主症状は関節炎で、体のあちこちの関節が痛くなります。また、溶連菌感染症の炎症が治まってから約2~3週間後に突然高熱が出ることもあるため注意が必要です。

溶連菌感染症の予防方法

感染経路

主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。溶連菌に感染している人の咳やくしゃみを直接吸い込んだり、溶連菌がついている手で触ったところを非感染者が触れたりすることで感染すると考えられています。

予防するには”手洗いうがい、マスクの着用”

残念ながら、2017年現時点では溶連菌感染症を予防するためのワクチンなどは開発されていないので、明確な予防方法はありません。しかし、手洗いうがいやマスクの着用を心がけることで、ある程度対策することはできます。特に飛沫感染による溶連菌の感染が多いとされているので、咳やくしゃみをしている人が周りにいた場合は、お互いにマスクを着用することをおすすめします。

風邪とは違うと感じたらすぐに受診しましょう

溶連菌感染症はこのように、はじめは風邪のような軽い症状ですが、時間とともに悪化したり、舌にブツブツができてしまったりするなど治りづらい合併症を引き起こす可能性がある病気です。特に子どもが発症するケースが多いため、親御さんは一層の注意をしてあげましょう。初期症状で見分けるのは難しいですが、少しでも風邪とは違う症状が現れたらすぐに医療機関を受診するようにしてください。

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