口の中の傷が治りやすい理由とは?

2018.05.08 healthSUE

口の中の傷が治りやすいのは唾液のおかげ?

前足を舐めるネコ

昔から、ケガをしたときにはよく「ツバをつけておけば治る」と言いますよね。また、動物がケガをしたときに患部を舐めている姿を見たことがある人も多いと思います。これは、唾液には傷を治すのに有効なさまざまな成分が含まれているためです。

そして、口の中はいつでも唾液に触れている状態。そのため、口の中にできた傷は他の部位にできた傷よりもずっと早く治癒することが期待できます。

唾液に含まれている成分

消化液の1つとして知られている唾液ですが、口の中をケガから守るのも唾液の重要な役割の1つです。傷を治すために有効な働きをする唾液中の成分は、大きく「口の中を保護する成分」「抗菌作用のある成分」「抗がん作用のある成分」の3つに分けられます。

唾液の成分1:口の中を保護する成分

口は食事のたびに食べ物による刺激を受けます。そして、それらの刺激から口の中を守っているのがムチンという粘膜を保護する成分です。また、ムチンは水分を多く含んだ分子構造をしており、口の中を乾燥から守る働きもあります。

さらに唾液には細胞を増殖させるヒスタチンや細胞の再生を促す上皮成長促進因子(EGF)なども含まれています。これらの成分が、口の中にできた傷の回復を早めてくれます。

唾液の成分2:抗菌作用のある成分

口の中には300~700種類の菌が生息の菌が生息していると言われています。さらに、皮膚表面の菌は1cm2あたり約1000個であるのに対し、口の中の唾液には1mlあたり1~10億個の細菌がいます。以上のことを踏まえると、口の中は他の部位に比べて感染しやすいと考えるのが自然だと思います。

しかし、実際には口の中は比較的感染しにくく、化膿することも多くありません。これは、唾液にはリゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、IgAなどの抗菌作用のある成分が含まれているためです。なお、リゾチームは一部の風邪薬にも配合されています。

唾液の成分3:抗がん作用のある成分

唾液には、発癌物質を抑制する作用をもつペルオキシダーゼという成分が含まれています。ある実験によれば、発がん物質に唾液を30秒間つけるだけで発がん性が大幅に低下するそうです。これはペルオキシダーゼの働きによるものだと考えられます。

なお、ペルオキシダーゼが含まれている食べ物としてキャベツが挙げられます。そのため、キャベツは肺がんや膀胱がんの予防に有効であるとされています。

唾液が少ないと口内炎になりやすい

ショックを受ける女の子

口内炎とは口の中および口の周りにできる粘膜の炎症のことです。その原因は多岐にわたりますが、そのうちの1つが口の中の傷によるものです。口の中にできた傷に菌が感染することで、口内炎を発症します。

通常であれば、唾液が傷の回復を促進します。しかし、これは逆に言えば唾液の分泌が少ないときには口内炎になりやすいということになります。さらに、唾液は虫歯予防や歯周病予防にも効果的です。これは、前述したように唾液には抗菌作用があるためです。口内炎や虫歯、歯周病などの身近な口の病気を防ぐためには、唾液が重要なカギを握っていると言えるでしょう。

唾液の分泌を促すためには?

口の中の傷を早く治すため、そして口内炎や虫歯、歯周病を予防するために、唾液はとても大切な役割を担っています。また、口の健康は全身の健康にもつながります。それらを総括して、唾液は全身の健康状態に直結すると言えるでしょう。

唾液の分泌をよくするためには、まずはしっかりと噛む習慣をつけることが大切です。食事をするときには、よく噛んでから飲み込むことを心がけましょう。さらに、ガムを噛むことも効果的です。ただし、甘みが残った状態で噛むのをやめてしまうと虫歯の原因になることがあります。ガムを噛むときには、10分以上しっかりと噛んでから捨てるようにしてください。

唾液の分泌を促して口の健康を守ろう

驚く女性

唾液は、私たちの口の健康を維持するうえで非常に重要な分泌物です。口の中の傷の治りが遅いようであれば、それは唾液が十分に分泌されていないのかもしれません。唾液の分泌を促進する生活習慣を意識しながら、しっかりと口の健康を守っていきましょう。

あわせて読みたい

レコメンド

関連記事