歯周病が悪化する?人気の加熱式タバコとの関係性
加熱式タバコとは
加熱式タバコとは、従来の紙巻式タバコのように火をつけて燃焼させるのではなく、タバコ葉を過熱させてニコチンを発生させるタイプのタバコです。従来の紙巻式タバコに比べると燃やしていないことからタバコ特有の臭いが気になりにくいこと、また副流煙による受動喫煙の心配が少ないことなどから、現在人気が急上昇しています。
そして、加熱式タバコと紙巻式タバコの一番大きな違いは「タール」の量です。タールはニコチンを肺まで届ける役割を担っており、一般的にはヤニと呼ばれています。発癌性を有することで有名で、米国環境保護局はタールを「グループA発癌物質(人に癌を起こすことが十分に証明されたもの)」に分類しています。
しかし、加熱式タバコからはタールがほぼ出ません。そのため健康に及ぼす影響は約10分の1になると言われており、このことを理由に加熱式タバコに切り替えたという人も多いでしょう。健康被害を最小限に抑えられる加熱式タバコは、「次世代タバコ」とも呼ばれています。近年では多くのタバコメーカーが加熱式タバコを開発しており、激しい販売競争を繰り広げています。
紙巻式タバコが歯周病を悪化させるワケ
従来の紙巻式タバコは歯周病を悪化させるということは、多くの人が耳にしたことがあると思います。紙巻式タバコには約200種類もの有害物質が含まれていますが、その中で歯周病の原因となるのは「タール」と「ニコチン」です。
タバコを吸うことでタールが歯に付着すると、歯垢や歯石が溜まりやすくなります。その結果として口腔内の歯周病菌が増え、歯周病の発症および悪化につながります。また、ニコチンには血管を収縮させる作用があります。血管が収縮すると歯ぐきに必要な酸素や栄養素が届きにくくなるため、歯周病が進行しやすくなります。
このような理由から、喫煙者の多くは歯周病を発症している傾向にあります。1日10本以上タバコを吸うヘビースモーカーは、歯周病リスクが非喫煙者の5.4倍にもなると言われています。また10年以上にわたって喫煙を続けると歯周病リスクは4.3倍になり、重症化する危険性も高くなります。
「加熱式タバコで歯周病になる」は本当?
加熱式タバコは紙巻式タバコと同様にニコチンを含有しているため、歯周病のリスクファクターになる点では変わらないと言えます。しかし、タールがほとんど出ないのであれば歯周病への影響は小さくなります。では「加熱式タバコに切り替えてから歯周病になった」という声が多いのは、一体どういうことなのでしょうか。
実は、タールは有害物質でありながら抗炎症作用があります。そのため、紙巻式タバコを吸うことによって歯周病による痛みが抑えられているのです。加熱式タバコにして歯周病になったと感じるのは、「歯周病になった」のではなく、「タールによって抑えられていた痛みを感じるようになった」のだと言えるでしょう。つまり、もともと歯周病でタールを摂取しなくなったことにより、痛みを感じるようになったというのが正しい認識です。
歯周病の予防・治療には禁煙が第一
紙巻式タバコと比べて体への害が少ないことで話題の加熱式タバコですが、歯周病のリスクを高める点においては同様です。紙巻式タバコにしても加熱式タバコにしても、喫煙者の多くは歯周病を患っています。本気で歯周病を予防・治療したいのであれば、禁煙することが第一だと言えるでしょう。
ドラッグストアでは、多くの禁煙グッズが販売されています。また、病院の禁煙外来も心強い味方です。大切な歯を守るためにも、ぜひこの機会に禁煙に取り組んでみてはいかがでしょうか。