歯科医院で受けられるって本当?口腔がん検診のすゝめ~ちぃ先生の手記第20回~

2019.01.09 medicalちぃ先生

口腔がんは死亡率が高い恐ろしい病気

一口にがんと言っても多くの種類があり、全身のあらゆる箇所で発症する可能性があります。その中でも口腔がんに関してはあまりご存知ない方も多いのではないでしょうか?口の中もがん細胞に侵される可能性は当然あります。ちなみに「口腔がん」というのは口の中にできるがんの総称で、その種類としては舌がんや歯肉がん、顎にできてしまうがんがあります。あまり口の中にがんができるという認識がないためか、毎年約3000人もの方が口腔がんで亡くなってしまっているそうです。

そんな恐ろしい口腔がんですが、治療法としては臓器にできた場合と同じく、外科手術で腫瘍を切除したり抗がん剤で進行を食い止めたりするなどが挙げられます。ただ、外科手術において顎や口腔内を切除すると、顔貌の崩壊は免れません。舌を切除すれば食事や発音が満足に行えないこともあるでしょう。また、抗がん剤の治療に関しても強い副作用は免れません。

私は学生時代に舌がんの症例を見たことがありますが、その際は切除した舌の代わりに腕などから皮膚ごと筋肉を移植するという形で治療を行っていました。口の中で毛が伸びていて、とてもグロテスクで不気味だったのを覚えています。ちなみに毛が伸びるということは、移植した筋肉に血液や栄養が行き渡っている証拠なので経過は良好ですが、見た目・感覚が元の健康な状態と異なるのと、味がわからないという弊害があるそうです。

「お口の定期検診」で早期発見が可能に

口の健康を大きく乱す恐れのある口腔がんですが、その中でももっとも罹患率が高いのがベロにできる舌がんです。舌がんには白斑症を代表に”前がん病変”と呼ばれる、将来がんになりやすい病態を判断しやすい傾向にあります。みなさんも毎日、食事や歯磨きをしているので、何らかの硬結(しこり)が生まれても舌で触った感触などで異変に気づきやすいはずです。そのため、たとえば膵臓などの臓器のがんに比べると早期発見がしやすい点が特徴だと言えます。

しかしながら、舌の白斑が現れたからといって、必ずしもがんになるわけではありません。歯肉の腫瘤(しゅりゅう)にしても歯肉炎によるものなのか、はたまた深刻化する病態なのかを一般の方が見極めるのは非常に困難です。そのため、歯科医院での定期的な検診や治療の際に、歯科医師・歯科衛生士によってしっかり口の中をチェックしてもらうのが口腔がんの早期発見につながります。つまり、口腔がんは日ごろからの口の健康への心がけ次第で、未然に防げる可能性が高い病気であるとも言えるのです。

増加している口腔がんの検診対応医院

口腔がんの検診は他のがんとは異なり、MRIなどの大がかりな検査は要りません。時間にしておよそ30分で手間を取らせませんし、万が一初期症状が見つかったとしても簡単な治療で改善が見込めます。また、初期治療であれば、後遺症もほとんど残らず5年生存率が90%を上回るという報告もあります。口腔がん検診の内容は、一般的な問診、視診・触診・写真撮影などを行った後に特殊な蛍光観察装置を使い、口の中に異常がないかさらに調べます。ここで異常があれば大学病院と連携して、さらにくわしい診断を行う流れです。

口腔がんと聞くと怖い感じがあり、検診に行くのをためらってしまいがちですが、実際の検診の詳細を知ることで「それなら受けてみよう」という気になった方もいるでしょう。市区町村などの行政が行っているがん検診を利用すれば、かなり安い費用で行えるほか、後期高齢者など特定の条件の方は無料で行える自治体もあるそうです。長期にわたりお口の健康を維持したいとお考えであれば、早速、身近な歯科医院で口腔がん検診を受診してみましょう。

❤ちぃ先生から一言❤常日ごろからお口の健康への意識を高めましょう

現状では、口の中もがんになることを知らない方が多いと思います。口腔がんは発症する前に検査を受診し、早期に治療を進めれば怖い病気ではないので、検診だけでも行ってほしいと思います。口腔がんのリスクを高める原因はたくさんあるのですが、喫煙や飲酒など、一般的ながんのリスクと同じように、口の中を清潔に保つことも口腔がんの予防につながります。クリーニングと検査もかねて定期検診のために歯科医院に通うようにしましょう。

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【ライター紹介】 ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~

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