保険適用になる歯科診療の範囲と自費診療のメリット

2019.01.14 health福本春香

保険診療と自費診療の違いは?

まずは保険と自費の違いがよくわからないという方のために、基本的な違いから整理しましょう。

違い1:治療費の負担割合

健康保険が適用された場合、一般の人は3割、70~74歳は2割、75歳以上は1割が負担額であり、年齢が上がるにつれて負担額が軽減されます。一方、自費診療の場合は年齢などに関係なく、診療で発生したすべての費用を全額負担することになります。

違い2:歯科材料の種類

診療で使用する材料に大きな違いがあります。たとえば虫歯を削る治療を受けた場合。保険適用では材料費の原価が安い銀歯などの特定の合金しか選択できません。自費診療の場合は基本的にどんな材質のものでも選べます。

違い3:治療法の種類

保険診療では治療法の選択肢が自費診療より少なく、時に対症療法的な治療に終始せざるを得ない場合もあります。自費の場合は治療法の選択肢が増えるので、歯の健康維持を第一に考えた、より仕上がりが美しく歯にダメージが少ない方法を選ぶことができます。

保険適用でできる治療の範囲

保険診療で行われる歯科診療の目的はあくまで“失った機能を取り戻す”こと。そのため見た目や耐久性が重要視されず、最低限の処置を施す場合が多いのが現状です。保険適用でできる治療や使用できる材料は以下のようなものになります。

その1:虫歯などで欠けた歯を治す場合

・充てん
初期の虫歯に多い治療で、削った部分に詰め物をする。保険で使用できる詰め物はアマルガム、レジン(合成樹脂)、リン酸セメントなど。

・鋳造(ちゅうぞう)歯冠修復
大きい虫歯を削ったあと模型上で詰め物をつくり、歯にはめて元の形にする治療。使用できるのは金銀パラジウム合金、銀合金。

・継続歯
差し歯と呼ばれるもので、歯の根から上の部分を失った場合に人工の歯を継ぎ足して元通りに修復する治療。保険ではレジン歯と陶歯を用いる。

・ジャケット冠
前歯などの目立つ歯が虫歯になった時、天然歯に似た材質のもので歯の表面全体を覆う治療。使用できるのはレジン、硬質レジン。

その2:根元から失った歯を治す場合

・ブリッジ
失った歯の両隣の歯を土台にして人工の歯をかぶせる治療。両隣の健康な歯を削ったり負担がかかったりする。支える歯には鋳造歯冠修復、金属冠、継続歯などの治療が行われ、ダミーの材料は14金合金、金銀パラジウム合金など。

・義歯
取り外し可能ないわゆる入れ歯。部分的に使用する部分義歯と、歯を全部失った場合の総義歯がある。床はレジン、人口歯はレジン歯、陶歯。バネは2歯欠損まで14K金合金、3歯以上は金銀パラジウム合金、コバルトクロム合金など。

自費診療にはこんなメリットがある!

自費診療は高いからと避けている人はまだ多くいますが、制限のない自費診療では以下のようにさまざまなメリットを得られます。

メリット1:予防のための処置ができる

虫歯治療などを受けた部位は、数年経つとどうしても同じところに再発してしまったり、隣接する歯が虫歯になったりするリスクが伴います。自費診療の治療ではそういった将来のリスクを見越して、最善の治療方法を選択できます。

メリット2:よりキレイで健康な歯を目指すことができる

保険適用の治療では材料が限られるため、どうしても元の歯と色が違うなどの審美面での問題が生じます。一方で自費診療では妥協せずにより天然歯に近い材質やツヤのものを選択できるため、見た目も満足いく仕上がりが期待できるでしょう。

メリット3:治療した部分が長持ちする

保険で使用するレジンなどは、経年によって変色しやすく耐久性も弱いというデメリットがあります。一方、自費診療で使用できるセラミックやジルコニアなどは、見た目もよく長持ちします。

費用の面はきちんと歯科医師に相談を

自費診療のメリットを知っても、やはり費用の壁は高く感じてしまいますよね。しかし、最近は費用のことでしっかりと相談に乗ってくれる歯科医院が多く、できるところまでは保険適用にし、一部自費診療を組み合わせたりすることもできます。まずは納得がいくまで歯科医師と相談してから、診療を受けるようにしましょう。

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