通う前に知りたい!歯科医院の自費と保険の違い~ちぃ先生の手記第22回~

2019.01.29 dhちぃ先生

意外と知らない自費診療と保険診療の違い

日本にお住まいであれば誰もが持っている保険証。これは「医療保険」に加入していることの証しであり、提示することで診療の際に保険を適用することができます。なぜ保険証の所持が重要かと言うと、医療サービスを受診する際の自己負担を減らせることに尽きます。保険証を提示するだけで医療費の自己負担が1〜3割で済むため、病院に行く際には「絶対に保険証を忘れないようにしなさい」と親から教わった方も多いでしょう。

患者側からすれば安く診療を受けられるという感覚に陥りますが、医院側が自己負担にならない7~9割は各支払基金に足りない分を請求して補填していることをご存知でしょうか。そして、その保険内で請求できる内容は”限られている”というのが「保険」と「自費」の分かれ目であり、この話のキーになるのです。

対して「自費治療」や「自由診療」と呼ばれる診療は、治療費を患者側が全額負担する必要があります。そのため、保険制度の細かい規制や枠組みに左右されることなく患者個々の要求に対応できるわけです。歯科の領域においては具体的には「セラミックなど白い材料を使った審美治療」や「再生治療」「インプラント」などが自費診療になります。後、入れ歯を作る際により丈夫な「金属床」を選択した場合、その材料との差額を自己負担するパターンもあります。

高額になりがちな自費診療が必要なワケ

「自費診療」と聞くと「医者に割り増しで請求させる」「不必要に高額な素材を薦められる」などというネガティブな印象を持っている方もいるでしょう。しかし、自費診療に関しては、お金がすべて自己負担であることばかりに注目すべきではありません。先ほど説明したように、保険診療では使える材料や術式が決められているため、患者さんによってはそれよりももっと良い治療を施せるのに、安価な材料で万全とは言えない治療を施さなければならないケースもあります。

また、最先端の治療は、医療保険が認可されていないケースがほとんどなので、自費診療でのみ行えます。反対に自費診療しかないと思われることが多い「矯正治療」ですが、顎の形状や噛み合わせが著しく不正に咬合している場合は保険診療で矯正治療を受けられます。つけられる装置は限られてしまいますが、自費診療で行うより安価に治療できるため、歯並びや噛み合わせが著しく気になるという場合は、一度歯科医師に診てもらい診察を受けてみましょう。

私が患者さんに自費診療をおすすめするとしたら、『前歯の治療』を推します。前歯はしゃべったり笑ったりする際に目立つ部位のため、保険でも白くすることが可能ですが、その場合はレジンという安価な樹脂で行われます。この材料は水分を吸って変色・劣化がしやすい材料のため、長期的に使用するのは不向きな材料です。奥歯の虫歯をレジンで修復するのならまだしも、「人に見える前歯にはあまり向かないのでは?」と私は思います。レジンが縮んだり前歯の歯肉が退縮したりすると中の金属が見えて、さらに審美性が悪くなってしまいます。

自身に合った治療を選択することが大切

自費診療と保険診療について説明しましたが、自費診療に関しては費用がかかる理由や高いお金を支払ってでも受ける価値が存在します。ただし、自費診療は医院が金額を指定することができるので、思った以上に出費がかさんでしまうこともあるでしょう。保険診療よりも高額な費用がかかることは免れません。

また、保険診療でも質の良い治療を受けることはできるので、各々の効果やメリットをしっかり加味したうえで歯科医師にきちんと相談することをおすすめします。自分がどんな治療を受けたいのかをしっかり伝え、納得できる治療を受けるようにしましょう。それは自費であっても、保険であっても変わりはないのです。

❤ちぃ先生から一言❤双方の選択肢を提示してくれる歯科医師だと安心

歯科医院を運営していくうえで売上は非常に大事な要素になるので、自費診療をすすめてくる医院は非常に多いと思います。それでも、保険診療で行える治療は選択肢として提示してほしいものです。「どうしても自費診療じゃないとダメなのかな?」と疑問に思った時は、保険診療で対応できるか尋ねてみましょう。また、自費診療だけをすすめる歯科医師を簡単に信用しないように、患者側も知識を身につけておくことが大切です。

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【ライター紹介】 ちぃ先生

歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。

・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~

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