【前編】気になるけど自覚なし!?多くの社会人を悩ます「口臭」を徹底ケア

2019.07.16 interviewHa・no・ne編集部

動物の本能のせい？自分の口の臭さに慣れてしまう前に…

口臭に自分ではなかなか気づけない理由とは？

Ha・no・ne編集部リン（以下、リン）
桐村先生が監修した「オーラルケアに関する意識調査」によれば「ビジネスシーンでの口臭がすごく気になる」と回答した方がとても多かったようですね。実際、人と対面したときの口臭って気になってしまうものなのでしょうか？

tenrai株式会社代表取締役医師桐村里紗先生（以下、桐村先生）
第一印象を決める要因として「人は見た目が100％」なんていわれたりしていますけれど、実は臭いの方が印象に強く残るという調査結果があります！ですから第一印象で「この人の口臭いな」と感じた場合、2回目以降に会ったときも、そのイメージが蘇ってしまう傾向にあるということです。

リン
ということは、身だしなみ以上に口臭は注意しないといけない点かもしれません。ただ、口臭は自分では気づきにくいという話も聞きます。

桐村先生
はい。人間は24時間、同じ臭いを嗅いでいると慣れてしまいます。これは動物の本能ともいえるのですが、脳が「安全な臭いだ」と認識するのです。

リン
動物の本能ですか？

桐村先生
動物にとって臭いは非常に重要で、敵が近づいてきたのを察知するには相手の臭いを少しでも早く感じないといけません。でも、そのときに自分の臭いがあると邪魔ですよね？だから自分の臭いはなるべく感じにくくなっているんですよ。

リン
なるほど“動物の本能”とは、すごく納得する理由でした（笑）。

桐村先生
臭いというのは本能と直結している感覚です。24時間といいましたが、そもそも口臭には24時間の中であったりなかったりするタイプもあります。

リン
波があるということですか？

桐村先生
たとえば誰にでも起こる“生理的口臭”は、唾液が減ると口臭が出てきます。とはいえ、そういう一時的な口臭は自分でも感じやすいです。自分で気がつきにくい口臭というのは、より強烈で常に発生している口臭になります。強烈な口臭の人に限って、自分ではなかなか気づきにくいんですよ……。

リン
ただ、自覚はないものの、気にしてはいるという人は多いんですよね？

桐村先生
やはり口臭はコミュニケーションと直結しますからね。言葉を話すために口を開けば、どうしても口臭は気になるでしょう。やはり対人の場面が多い社会人は、特に意識される人が多いですね。

オーラルケア用品を「持っている」だけで安心してはダメ！

リン
最近ではオーラルケア用品を持っている人が増えてきています。調査によれば、7割の人が歯ブラシ・歯磨き粉以外のオーラルケア用品を持っていると回答していました。7割という数字はかなり高いですよね？

桐村先生
高いですね！ただ、内訳を見ると「マウスウォッシュ」が多いようですが、口臭防止のために1番使ってほしいと思うオーラルケア用品は「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」「口腔洗浄器」なんです。歯間や歯周ポケットをしっかりケアできるものが望ましいので。それからもちろん、持っているだけでなくしっかり使うことが大事です！

リン
たしかに、適切な使い方をしなければ、しっかりとしたケアはできませんね。

桐村先生
その通りです。おそらくですが、「持っているだけでなくしっかり使って、適切なケアができているか」というアンケートをとれば、7割という数字はまた変わってくるのではと思います。

リン
オーラルケア用品を持っている人は多いにもかかわらず、歯周病の罹患率が下がらないのはそういう理由があるのかもしれません。

桐村先生
実際、歯周ポケットの持ち主はどの年代も増加傾向にあります。まぁ、昔は虫歯になるとすぐ歯を抜いていたというのが大きいですが。今は治療によって歯は残せるので、逆に歯周ポケットのある人は増えてしまっています。

リン
高齢者の場合はそういう事情も考えられますね！でも、若い人でも増えてしまっているのには理由があるのでしょうか？

桐村先生
やはりオーラルケア用品の適切な使い方ができていないことが大きいです。若い人の間ではマウスウォッシュが人気なようですが……マウスウォッシュのみで完璧なケアは難しいかと思います。また、先ほどデンタルフロスを使ってほしいといいましたが、デンタルフロスだと歯間のケアはできても歯周ポケットには届きません。

リン
なるほど……歯周ポケットをケアするには、どうしたらいいのでしょうか？

桐村先生
おすすめはパナソニックのジェットウォッシャーです！水流の力で歯周ポケットの汚れを取り除けますので、歯周ポケットのケアを考えるなら、ぜひ使ってもらいたいなと思います。

中高年の男性が女性に比べて口臭を気にしない理由

リン
正しいオーラルケア用品の使い方ってけっこう知らない人が多いですよね……。アンケート結果で気になったのが50代男性の意識の薄さです。年齢を重ねていくうちに、男女でケア意識の差が顕著になっているイメージがあります。これはどうしてでしょうか？

桐村先生
男性と女性を比べたとき、「嗅覚」という点では男性の方が鈍い印象はありませんか？実際、嗅覚の細胞は女性の方が多いというのが研究で判明しています。
それに加えて、五感は年齢と共に衰えていきます。元々鈍い嗅覚がさらに衰えてしまうので、歳をとるごとに男性の方が口臭を感じにくくなるというのは、仕方ないことかもしれませんね……。

リン
なるほど……。

桐村先生
あとは今でこそオーラルケアは日常のものになってきていますが、昔はオーラルケアと聞くと特別という印象がありました。「お口のケアは病気になってからなんとかする」というのが当然な時代でしたからね。そう考えると、最近では若い世代を中心にオーラルケアの意識が高まっていて、ライフスタイルの1つとして身につきやすくなっているかなと感じます。