キシリトールガム1日5粒を1回5分間噛み続けると50%のむし歯予防効果に~ちぃ先生の手記第74回~
歯科衛生士がキシリトールガムの正しい選び方をレクチャー
そもそもキシリトールガムが歯にいいというのは本当?
キシリトールとは、天然の甘味料です。分類で言うと糖アルコールで、ひんやりした感覚があるので、のど飴などによく配合されています。キシリトールは、砂糖の代わりの甘味料として使用が開始されました。砂糖(ショ糖)の甘さを100とすると、キシリトールは90ぐらいなので、比べれば甘さは控えめになっていますね。そして、甘味料の多くは体に吸収されずに排出されることから「ダイエットシュガー」として利用されています。その中で、虫歯にも効果的というエピソードが出てきたわけです。
実際には、虫歯をキシリトールで減らすことはできません。ただ「虫歯菌のえさに使われない」ことはわかっています。虫歯菌の中でもミュータンス菌は、スクロース(ショ糖)が大好物です。菌に代謝されると酸を発生し、歯を溶かし、虫歯になっていくのですが、キシリトールは代謝されず、酸を発生させません。ということは「スクロース以外の糖なら虫歯になりにくいの?」という疑問が浮かぶでしょう。答えはYES!キシリトールではなく、ソルビトールやオリゴ糖などほかの甘味料でも、砂糖(ショ糖)と比べると虫歯になりにくい傾向にあります。
キシリトールにだけ存在する働きに注目!
糖アルコールの中で、キシリトールだけにある作用を紹介しましょう。キシリトールは口腔常在菌が利用できないため、酸を作りません。これは「無益回路」と言われているものですが、キシリトールがミュータンス菌内に取り込まれても代謝経路に入れず、エネルギーを消耗させ、糖代謝を阻害する働きがります。そのため、虫歯予防ガムにキシリトールが使用されているのです。
キシリトールガムの効果的な取り入れ方
キシリトールガムには、虫歯予防効果があることがわかっています。日本歯科医療管理学会によると、キシリトールガムを1日5粒、1回5分間噛み続けると、50%のむし歯予防効果があるとのこと。
ガムを噛むタイミングは“歯みがきの後”が効果的です。これは唾液の分泌を促し、口腔環境をケアし、歯質を強くするためです。また、食後のデザート代わりや、就寝前にもおすすめですよ!
歯科専用or市販のキシリトールガム?その違いとは…
「歯科専売のキシリトールガム」
着目すべきは“配合量”が異なるポイントにあります。歯科専用のものはキシリトールを100%使用しています。そのほか、江崎グリコの「POs-Ca(ポスカ)」やモンデリーズジャパンの「リカルデント」など、エナメル質の再石灰化が認められた、虫歯予防に効果の高い成分の配合されたガムを売っていることがあります。
「市販のキシリトールガム」
ガムとして美味しいものや、パッケージがかわいいもの、フレーバーが長く保てるものなど……必ずしも虫歯予防のためにつくられているものではありません。そのためにキシリトールが入っていないものもあります。また、キシリトールとパッケージに記載があっても、その配合量は約55%程度で、歯科専売品と比べると明確な違いがあります。
キシリトールガムによる効果を得たいと考える場合は、配合量をきちんと確認するようにしましょうね。
キシリトールガムのメリットやデメリット、虫歯予防になるというメカニズム、歯科専売品と市販品の違いなどを紹介しました。ガムを噛むだけで虫歯が予防できるとしたら、手軽で魅力的だといえます。しかし、キシリトールガムはあくまで補助であり、フッ素の塗布や歯みがき、定期歯科健診にとってかわるものではないということを忘れないようにしましょう。
また、虫歯菌であるミュータンス菌のえさに使われない甘味という点では、虫歯予防のための頼りになる存在です。甘いものを食べたくなったときに、キシリトールガムを取り入れることで、虫歯のリスクを減らすことができますね。
虫歯予防のために、歯みがきを怠らないことをもっとも重視し、キシリトールガムをうまく取り入れてみてくださいね!
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~