知っておいて損はない!虫歯の予防充填の基礎知識

2017.07.30 health渡辺蘭

予防充填は歯の溝を埋める技術

予防充填はCR充填とも呼ばれます。CRとは「Composite Resin(コンポジットレジン)」という特殊な樹脂のことを指し、これを使って歯の溝を埋める処置を行います。

樹脂を埋めた歯の溝には食べかすが溜まりづらくなるので、磨き残しによって歯垢が溜まることもなく、虫歯の予防につながります。具体的にはこの治療を行わない場合に比べて約60%の予防効果があると言われており、特に「虫歯になりやすい子どもの乳歯」や「溝が深い歯」に効果的です。

ちなみに、予防充填に使用される樹脂素材にはフッ素が含まれています。フッ素は歯の再石灰化を促進し、ごく初期の虫歯なら修復できる働きがあるため、歯質を強化して虫歯になりにくくしてくれる効果も期待できます。

予防充填の処置の流れ

具体的に予防充填の処置を行った際の流れを紹介しましょう。

1.洗浄・虫歯の除去
予防充填は時間のかかる処置ではありません。まず、歯の溝に付いている歯垢や食べカスを、歯ブラシや専門器具、リン酸水溶液の塗布によってキレイに洗浄します。すでに虫歯になってしまっている場合は、少し患部を削ることもあります。

2.CR充填
洗浄が完了したら、歯の溝に液体状のコンポジットレジンを隅々まで充填します。

3.CR硬化
充填したコンポジットレジンに光を当てて硬化させます。コンポジットレジンは硬化すると白く変色します。

4.噛み合わせの調整
コンポジットレジンを充填した部分は隣り合う歯に比べて少し高さが出るので、噛み合わせに影響がないように表面を研磨して調整を行います。

このような流れで処置を進めていきます。だいたい1本の歯に対して5分程度で処置が完了するので、長時間座っていられない小さな子どもにも適しています。

デメリットは多いものの大きなメリットがある治療

親指を立てる

メリット

・自然な色で目立ちにくい
虫歯になってから治療を行うと、保険適用治療の場合、金属製の詰め物をするので目立ってしまいます。しかし、コンポジットレジンは天然の歯によく似た白色なので、ほとんど目立ちません。

・リペアが簡単
予防充填は時間が経つにつれて劣化します。また、強い衝撃が加わると欠けてしまったり、外れてしまったりすることもあります。しかし、リペアがとても簡単であり、短時間で完了します。

デメリット

・歯全体に行えない
残念ながら、予防充填はすべての歯に行うことはできません。歯の大きさや形、虫歯の有無、虫歯の進行度などによって可能かどうかが判断されます。歯科医院によってはあらかじめ予防充填が適用できる歯を限定していることもあるため、事前に相談しましょう。

・審美性は歯科医のテクニック次第
予防充填は細かい部分の処置なので、それほど目立ちません。しかし、担当する歯科医のテクニック次第では見た目の美しさが左右されることもあります。信頼できる歯科医院にお願いするとよいでしょう。

・変色する
初めは天然の歯と見分けがつかないほどですが、劣化とともにコンポジットレジンが黄色っぽく変色するので、見た目が損なわれてしまうこともあります。変色が気になるようになってきたら、歯科医院に相談しましょう。

・外れていることに気づきにくい
予防充填は基本的に奥歯に対して行われることがほとんどです。そのため、外れたことに気づかないことが多く、気づいたらCRが外れて虫歯になっているということがあります。毎日こまめに状態をチェックしましょう。

虫歯になる前に効果的な予防をしましょう

予防充填は食べかすや歯垢の溜まりやすい歯の溝にコンポジットレジンを充填し、虫歯を予防する処置の一つです。歯全体に行うことができなかったり、変色してしまったりと、多少のデメリットはありますが、たった数分の処置だけで効果的に虫歯が予防できることは大きなメリットですよね。歯の溝に溜まった歯垢が原因で虫歯になりやすいという方は、ぜひ予防充填を検討してみてはいかがでしょうか。

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