横向きで眠るあなたの「咬み合わせ」は大丈夫?咬み合わせを悪化させるNG習慣とケア方法

2019.09.20 interviewHa・no・ne編集部

咬み合わせの異常を放置することでさまざまな弊害が生じる

咬み合わせの異常は些細な癖によって起こることも…

咬み合わせの異常



Ha・no・ne編集部 リン(以下リン)
先生は虫歯などの一般歯科治療のほか、顎関節症の治療などもおこなわれていますよね。咬み合わせの異常は顎関節症の原因のひとつと聞きますが、そもそも咬み合わせはどうして悪くなってしまうのでしょうか?

川村歯科医院 院長 川村裕先生(以下川村先生)
歯は、皆さんが思っている以上に簡単に動いてしまいます。例えば頬杖をつく癖があったり、片側を下にして寝る癖があったりすると、歯が押されてズレてしまい、咬み合わせが悪くなることがあるんです。

リン
私も頬杖をつく癖があります。寝るときに横向きになるのも、咬み合わせの悪化の原因になるんですね。

川村先生
実は顔の重さって5キロほどとかなり重いんですよ。ずっと横向きの姿勢で寝ていると、その5キロ分の力が一晩中歯に加わり続けることになる。そうするとやっぱり歯がズレてきて、咬み合わせが悪化してしまいます。なので、患者さんには大の字になって上向きで寝ることをおすすめしています。ただし、寝癖と噛み癖はほぼ一致している場合が多いので、まずは噛み癖と反対側でガムを噛む練習をしてみましょう。ある程度できるようになったら仰向け寝にチャレンジしてみましょう。

リン
なるほど。他にも咬み合わせの悪化につながる習慣などはありますか?

川村先生
舌が正しい位置にないと、歯が舌に押されて咬み合わせが徐々に悪くなっていきます。舌は上顎にくっついている状態が正しい位置なのですが、「なんとなく落ち着くから」と舌を下の歯に当てている方は多いと思います。普段から、上顎にくっつけたままキープする習慣をつけるのが大切です。

咬み合わせの異常によって顔が歪む!?

顔の歪み



リン
顎関節症以外で、咬み合わせの異常が招く症状にはどんなものがありますか?

川村先生
咬み合わせが悪いと、片側だけでものを噛むようになるので、顔が歪むことがあります。例えば右側ばかりで噛む癖のある方の場合、右側の顔だけキュッと引き締まって、左側はだらっと伸びてしまうことがあるんです。そうなると口角の位置も目の高さも変わってきて、顔が歪んでしまいます。

リン
見た目に影響が出ることもあるんですね。私も片側でものを噛む癖があるので、証明写真などを撮ったときはちょっと顔の歪みが気になります……。ちなみに、咬み合わせの異常は、慢性的な食いしばりや歯ぎしりとも関係があるのでしょうか?

川村先生
食いしばりや歯ぎしりは、咬み合わせの異常が原因というよりも、癖であることが多いですね。先ほど舌を正しい位置にキープしましょうという話をしましたが、食いしばりも舌の位置が下がっていることで起こりやすくなります。舌を上顎にくっつけたままだと、食いしばろうとしても食いしばりにくくないですか?

リン
確かに食いしばりにくいです!

川村先生
そうでしょう。けれど、やはり舌は下の歯に当てていた方が楽に感じてしまいがちです。楽なのでだんだん癖になって、食いしばりにつながってしまう。

食いしばり



本来、食事のとき以外は上下の歯は触れ合わないはずですが、食いしばりが癖になると長時間触れ合ったままになってしまいます。それが顎関節症や頭痛、肩こりをはじめ、いろんな症状の原因になることがあるんです。

リン
なるほど。食いしばりがある方は、普段の習慣を見直す必要がありそうですね。

咬み合わせの異常をケアする方法とは

ケア方法

リン
咬み合わせの異常は、どうすればケアできるのでしょうか?

川村先生
片側で噛む癖のある方の場合は、普段噛みづらいと感じている側でガムを噛むのが有効です。3か月から6か月は続けていただきたいですね。(顔を見て)リンさんの場合は、右で噛むときに噛みづらいと感じませんか?


片側で噛む癖



リン
あ、確かに右の方が噛みづらいです。右側を使うと、強く噛みしめすぎて疲れてしまいます。

川村先生
そうだと思います。普段使わない方の歯を使うと疲れますし、頬の内側や舌を噛みやすくなるので途中で嫌気がさしてしまう方も少なくないのですが、数か月続けると効果が表れてくることもあります。ガムを噛み続けるだけなら費用も手間もあまりかからないので、ぜひ続けていただきたいですね。

まずは生活習慣を改めるところから

生活習慣の改善



リン
歯科医院で咬み合わせを治療する場合、どんな治療をおこなうことになるのでしょうか?

川村先生
歯科医院によってさまざまですが、当院では基本的には保険診療の範囲でできる治療をおこなっています。例えば抜けてしまったままの歯がある患者さんなら、入れ歯などの治療で歯を補って、まずは「しっかり噛める」という感覚を実感してもらう。そこから見た目をもっと良くしたいなどのご希望があれば、審美歯科の治療に移っていきます。

リン
「咬み合わせが悪くなっている原因を突き止めて、しっかり噛めるようにする」というところまでは、基本的に保険診療の範囲でおこなっているということですね。ちなみに、咬み合わせが整うと自分で実感できるものなのでしょうか?

川村先生
わかることもありますよ。歯に人工物が入っている患者さんで、人工物だけが天然の歯より高いせいで咬み合わせが悪くなっているというケースをよく見るのですが、人工物をほんの少し削って高さを調整すると、治療後すぐに「咬み合っている歯が平らになった感じがする」「顎が楽になった」とおっしゃる方も多いんです。

川村歯科医院



咬み合わせが正しくなると、顎の動きにくさがケアされることもあります。咬み合わせの悪さを自覚している方は、まずは頬杖をつく癖をやめる、仰向けに寝る、舌を正しい位置に置くなどの生活習慣をつけることから始めましょう。

そのうえで歯科医院を受診してチェックしてもらい、どんな治療を受けるべきか歯科医師と相談することをおすすめします。

リン
咬み合わせの異常を放置しがちな人は少なくないと思いますが、顔の歪みや顎の動きにくさがケアされる可能性があるなら、ぜひ治しておきたいですね。先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!

つい放置してしまいがちな咬み合わせの異常ですが、頬杖をつく癖や寝るときの姿勢などの些細な習慣で悪化する可能性があるうえ、顎関節症や顔の歪みなどの原因にもなりかねません。自覚がある方はもちろん、「自覚はないけれどもしかして自分も?」と思う方も、ぜひ一度歯科医院で咬み合わせのチェックをしてもらいましょう。

▼取材協力
川村歯科医院
ホームページ:http://www.kawamuradent.com/

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