過度な「舌磨き」で口臭が悪化!? 正しい舌ケアの方法とは
口臭対策に欠かせない「舌磨き」の正しい方法とは
口臭の原因の9割は口内にある
口臭は大きく「生理的口臭」「病的口臭」の2タイプに分けられます。生理的口臭は、寝起きや空腹時など、唾液の分泌が減少したときに一時的に起こる口臭。一方、病的口臭は歯周病、虫歯、歯垢や歯石の付着、舌苔の付着などによって起こります。
口臭に関する研究によって、口臭の原因の87%は口の中にあることが明らかにされています。病的口臭は喉や鼻の病気などによって起こることもありますが、やはり、口臭とオーラルケアは切っても切れない関係にあるのです。
口臭の原因物質が最も発生しやすいのは舌の上
口臭の主な原因物質は、揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)という物質です。VSCは、口の中の「嫌気性菌」という細菌がタンパク質やアミノ酸を分解することで発生します。
舌の表面には舌苔(ぜったい)という細菌の塊がつくため、舌は口内でも特にVSCが発生しやすい場所です。そのため、口臭をなくすには舌苔を除去することが欠かせません。
口臭対策には舌磨きが効果的
舌に付着している舌苔を除去するには「舌磨き」が効果的です。専用の舌ブラシを用意し、以下の手順で舌磨きを行いましょう。
1.鏡を見ながら舌を思いきり前に突き出し、舌の後方に舌苔がついていないかを確認します。
2.舌ブラシを鏡で見える最も奥の部分に軽く当て、手前に引いて舌苔をかき出します。力を入れると舌を傷つけてしまう恐れがあるため、やさしく行いましょう。舌磨きの際に嘔吐反射が起こることがありますが、息を数秒間止めながら行うと起こりにくくなります。
3.舌ブラシを水道の水でよく洗いましょう。
4.1~3の手順を、舌ブラシの先に汚れ(舌苔)が付着しなくなるまで繰り返します。
舌磨きは起床時の歯磨きとあわせて1日1回行いましょう。舌に傷や潰瘍があるときは中止してください。
「歯ブラシでゴシゴシ」は逆効果!口臭悪化の原因にも
日常的に舌のケアを行っている方の中には、「歯磨きのついでに歯ブラシで舌磨きをしている」「軽い舌磨きでは汚れが落ちない気がするので、ゴシゴシこすっている」「歯磨きのときは毎回舌磨きもしているので、1日3回は舌磨きをする」という方もいるのではないでしょうか。しかし、これらはどれも舌を傷つけ、ともすると口臭を悪化させる原因となります。
硬い歯ブラシでゴシゴシこすったり、1日に何度も舌磨きを行ったりすると、舌の表面にある舌乳頭という組織が傷ついて失われます。舌乳頭が失われると舌の上に唾液を溜めておくことができなくなるため、舌を磨けば磨くほどドライマウスが進行し、口臭を招くことになります。口臭を気にして舌磨きをしているはずが、かえって口臭を悪化させることにもなりかねないのです。
舌ケアの鉄則は、「とにかく舌を傷つけないこと」。1日1回、柔らかい舌ブラシでやさしく舌磨きを行い、舌を傷つけないよう注意しながら舌苔を除去しましょう。
また、舌ブラシがない場合は、毛先の柔らかい小児用歯ブラシや目の粗いタオル、ガーゼなどを使用しても構いません。舌の表面をやさしく撫でるようにして舌苔を取り除きましょう。
正しい舌ケアでいつでも爽やかな息に
口臭の原因が舌にあるという認識は広がりつつありますが、舌磨きに対する誤解はまだまだ多いもの。今回ご紹介した正しい舌磨きの方法をぜひ理解し、普段のオーラルケアに取り入れることで、いつでも爽やかな息を目指しましょう!
参照
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-002.html
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kousyu/
【ライター紹介】 小晴(こはる)
出版社での美容雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。2018年より唐突にパーソナルカラーの世界にハマり、イエベメイクの研究に日々勤しんでいる。現在は化粧品検定1級の取得を目指し奮闘中。