胃腸のケアはお肌の美しさに直結!アトピーに悩んでいた薬剤師だからこそ語れる「腸活×漢方×栄養学」の魅力
アトピーの原因を探るうちに漢方の道へ
つらいアトピーから漢方の道へ
Ha・no・ne編集部 リン(以下リン)
大久保先生は薬学部をご卒業後、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容を学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得されるなど……華麗な経歴をお持ちです。その中で「漢方」を大事にされるきっかけがあったのでしょうか?
薬剤師 大久保愛先生(以下:大久保先生)
私は生まれつきアトピーがひどかったんです。親が漢方や民間療法の本を参考に、薬草を煎じて飲ませてくれたりしていたのですが、やはり治らなくて……。ステロイド塗ったり、ビタミン剤を飲んだりしても改善がみられませんでした。
でも、ステロイドでアトピーを治すのには抵抗があったんです。それで薬学部に入って、生薬学の研究室に入り……そうして漢方薬の道へつながっていきました。
大久保先生
結果、たどり着いたのが「食べもの」でした。アトピーや喘息は子どものころに起こりやすいと思うんですけど、それは腸が未熟であることが原因の1つとして考えられています。私の場合、習い事のご褒美に手作りのアイスやパフェ、ケーキやドーナツを食べさせてもらっていて……いま思えば食べ過ぎでしたね。
大人になると腸が発達して、そのような症状が出なくなることもあるのですが、食生活がそのままだと症状が続く原因としてリスクがあります。
リン
子どもでアトピーに悩んでいる子がいたら、食生活を見直して、お腹のケアをした方がいいということでしょうか?
大久保先生
そうですね。私にも、そういう相談にいらっしゃる方は多いんですけれど、まず子どもでも飲める胃腸をよくするお茶や漢方を飲んでもらって、甘いものをやめてもらって。そうすると、2か月くらいでお肌が綺麗になるケースもあります。これは、もちろん個人差がありますので、医師や薬剤師へよくご相談くださいね。
「腸・漢方・美容・栄養」の密接な関係
リン
先生が考える「腸活×漢方×栄養学」の魅力を教えていただけますか?
大久保先生
実は、漢方を分解する酵素には、人のからだ自体では作れないものがあります。そして、代わりに分解を担当するのは腸内細菌なんですよ。ですから、腸を整えてあげると漢方の効き目がよくなるし、漢方自体にも腸内環境を整える働きがあります。そのため、下痢や便秘をしていたり抗生剤を服用しているときには漢方の効き目が弱くなることもあるんです。
リン
酵素や整腸剤で腸活をする女性も多いと思うのですが、それよりは漢方の方がいいのでしょうか?
大久保先生
漢方がいいというよりも、漢方の考え方をおすすめしたいです。漢方は、症状だけをみるのではなく、からだ全体のバランスをみます。そのため、食事や生活習慣の改善を大切にし、症状の原因となる習慣の見直し、再発防止までおこないます。まずは「自分の食生活を見直す」ことですね。たとえば依存している食材や化学調味料、人口調味料をやめて、ベースを整える。そうすると自然と自炊にシフトできて、ダイエットにもつながります。
リン
確かに!
大久保先生
6月に発売した著書『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』では、「心を元気にする栄養と食べもの」を紹介しています。この部分の9つ目の「抗炎症食品」をまとめていたときに、漢方薬とすごくリンクしているなと感じました。
おそらく、ここに記載しているような「体質的に食べ分けが必要なもの」が、漢方薬につながっていったのではないかと考えています。
リン
ここで紹介されているスパイスやハーブ、香味野菜を見ると、漢方との関係性を感じます。面白いですね!
舌は食生活を見直すバロメーター
舌でからだの状態をチェック
リン
年間2,000人以上のお悩みに答えてきた先生が、実際にアドバイスされていることや、ご自身が気を付けている美容テクニックをお聞きしたいです!
大久保先生
毎日鏡で「舌」をチェックしていますね。漢方の診断のときは舌をチェックするのですが、自宅でも簡単にチェックできる方法があるんですよ。
たとえば、舌の上に白い苔が目立っていたら、糖質や脂っこいものの食べ過ぎを疑ってください。舌先だけが赤ければ、水分不足や、どこかで炎症が起きている可能性があります。また、舌苔(舌の上の苔)の色が黄色い場合は、不摂生。野菜や海藻など、食物繊維が足りてない場合が多いですね。
リン
すごい!舌でそんなに分かるんですね!?いままで、舌苔の色は気にしたことがなかったです。そのまま舌ブラシで取っていました。
大久保先生
「舌苔があるから取る」というよりも、その原因を取り除いた方がいいですね。
リン
ハッとしました!舌のポジションや舌の汚れ、口臭についてはHa・no・neでも取り上げてきましたが、その前の原因の部分までは考えが及んでいませんでした……。
胃腸を整えると肌荒れ予防に!
リン
Ha・no・neはお口周りの美容をテーマにしたメディアなのですが、大久保先生からHa・no・ne読者に向けて、何かアドバイスがあればお願いします。
大久保先生
胃腸の荒れは口元によく出ますよ。フェイスラインのにきびや口角炎、口内炎など。あと口臭にもつながります。胃腸のケアは肌荒れ防止に直結しますね。
リン
なるほど。
大久保先生
あと、肌荒れが気になるときはキャベツがおすすめです。ビタミンCが豊富ですし、「キャベジン」で胃の働きがよくなりますし、食物繊維で腸も整えられます。生で食べるのが一番手軽ですね。私はジップロックの中にキャベツをぎゅうぎゅうに詰めて、塩昆布を入れてよく食べていました。
リン
それなら簡単に続けられそうです。ちなみに心がバテそうなとき、何か気をつけていらっしゃることはありますか?
大久保先生
卵をよく食べますね。卵にはタンパク質やビタミンB群が含まれていて、からだを動かすエネルギー「ATP」の材料になります。食べ方は茶碗蒸しが多いですね。胃がもたれないですし、きくらげや干し椎茸などを具材にすると、出汁が出て美味しく仕上がります。
リン
美味しそうですね! 私もやってみたいと思います。
大久保先生が漢方の道へと進んだのは、ご自身のつらいアトピー経験からでした。私たちは普段、肌荒れは塗り薬などで対処しますが、根本の原因まで見直して改善する機会は少ないように感じます。しかし今回のインタビューで、季節の移り変わりと、心、からだ、美容との関係を知り、改めて自分のからだとしっかり向き合う大切さを学べました。
大久保先生からのアドバイスを参考に、私も依存している食材や化学調味料などは避け、心を元気にする食べものを積極的に取り入れたいと思います!
大久保先生、この度は貴重なお話をありがとうございました。