歯ぎしりが顎関節症の原因に? 放っておいてはいけない「睡眠中の歯ぎしり癖」
歯ぎしりはさまざまな二次障害の原因に
歯ぎしり癖があるかどうかを確かめる方法
家族や周りの人から、「寝ているときに歯ぎしりをしていた」と指摘を受けたことがある方もいるでしょう。実は、歯ぎしり自体はどんな人にも起こり得る現象であり、一晩に1回程度であれば心配する必要はありません。健康な人でも、疲れていると歯ぎしりをしやすくなります。
心配なのは、歯ぎしりが長時間、毎日のように続く場合です。歯ぎしりは非常に強い力でおこなっていることが多いため、毎日長時間続くと、歯や歯茎、顎などの筋肉に大きな負担をかけてしまいます。
とはいえ、周りの人から指摘されない限り、自分が睡眠中に歯ぎしりをしているかどうかわからないという方が多いのではないでしょうか。歯ぎしりが癖になっているかどうかを知りたい方は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
・家族や友人などから、1年に2回以上歯ぎしりを指摘されたことがある
・朝起きたとき、顎がこわばった感じがすることがある
・食事のときに口を開けにくいことがある
・日中も無意識に歯を噛みしめていることがある
歯ぎしりには音のしないものもある
「歯ぎしりは歯をこすり合わせてギリギリと音を鳴らすもの」というイメージを抱く方は多いでしょう。実際には、上下の歯をぶつけてカチカチと鳴らす歯ぎしりや、音はしないものの、強い力で歯を食いしばるタイプの歯ぎしりもあります。
強い力で歯を食いしばる歯ぎしり(食いしばり)は、睡眠中だけでなく日中目覚めているときにも起こります。食いしばりも無自覚におこなってしまう癖で、「気付いたときにはいつも歯を食いしばっている」「いつの間にか顎が疲れていた」という方は少なくありません。
人が歯ぎしりをしてしまう原因は、今のところはっきりとはわかっていません。歯の噛み合わせの悪さやストレスが一因と考えられているようです。
歯ぎしりが及ぼす影響
歯ぎしりそのものは疾患とは言えませんが、過剰な歯ぎしりが長期間続くと歯や歯茎、顎などの筋肉に大きな負担がかかり、さまざまな二次障害が発生します。代表的なものは、頭痛や肩こり、歯が擦り減る、歯周病などの症状です。
また、歯ぎしりが顎関節症の原因になることもあります。顎関節症は、口を開けようとすると顎の関節がカクンとなって痛みを感じたり、顎の筋肉がこわばったりして口が開けにくくなる病気です。悪化すると口を少し開けるだけでも痛むようになり、食事ができなくなることもあります。
歯ぎしりの予防・改善法
歯ぎしりはストレスによって体が緊張することで起こりやすくなると考えられています。歯ぎしりを予防したい方は、眠る前にゆっくりと腹式呼吸をおこなって全身をリラックスさせ、心身の緊張を取り除きましょう。
歯ぎしりの改善に有効な対策が、睡眠時にマウスピースをはめる「スプリント療法」です。上下の歯が直接当たらないようにすることで、歯を擦り合わせたり食いしばったりするのを防ぎます。歯科医院でおこなうスプリント療法には健康保険が適用されます。
ただし、噛み合わせの悪さが歯ぎしりの原因となっている場合は、先に歯の治療や歯列矯正をおこなう必要があります。原因を自分で特定するのは難しいため、まずは歯科医院を受診してみましょう。
歯ぎしりに悩む方は歯科医院の受診を
軽視されがちな歯ぎしりですが、毎日長い時間続く場合は、顎関節症をはじめさまざまな二次障害の原因となる可能性があります。歯ぎしりの癖を自覚している方、起床時に顎の疲れを感じる方は、一度歯科医院で相談してみましょう。
参照
https://www.ngt.ndu.ac.jp/hospital/dental/service/special04/
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/57.html
【ライター紹介】 小晴(こはる)
出版社での美容雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。2018年より唐突にパーソナルカラーの世界にハマり、イエベメイクの研究に日々勤しんでいる。現在は化粧品検定1級の取得を目指し奮闘中。