歯が原因で鼻づまりに!? 意外と知らない「歯と副鼻腔炎の関係」
歯が原因で起こる「歯性上顎洞炎」とは
副鼻腔炎とはどのような病気か
鼻の中は鼻腔と副鼻腔で構成されています。副鼻腔炎とは、鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす病気のこと。副鼻腔の中になんらかの原因で細菌などが入ると、炎症を起こし、鼻汁や鼻づまりなどの不快な症状をくり返すようになります。
副鼻腔炎には急性と慢性があり、合わせて毎年1000万~1500万人もの人がかかる一般的な病気です。しかし、急性副鼻腔炎になっても軽症の場合は自覚がない人が多く、「風邪が長引いている」と思う人がほとんど。軽症ならそのまま自然治癒しますが、治らないまま放置すると慢性副鼻腔炎になり、常に鼻が詰まったままの状態になったり、膿のような鼻水が溜まって蓄膿症になったりします。
副鼻腔炎の症状
急性副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザのウイルスや細菌による感染で起こることの多い病気です。風邪などで細菌やウイルスに感染すると、鼻腔が炎症を起こして鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴がふさがることがあります。穴がふさがると鼻腔へ粘液をうまく排出できなくなり、副鼻腔内の粘液に細菌やウイルスが繁殖して膿が溜まります。これが急性副鼻腔炎を引き起こします。
副鼻腔炎は、ドロドロとした膿の混じった鼻水が出る、鼻が詰まる、匂いがわかりにくい、鼻水が喉に流れ込んで喉が詰まった感じがするといった症状のほか、頭痛や発熱、歯や頬の痛みなどの症状を伴います。頭痛や歯、頬の痛みは副鼻腔が炎症を起こして腫れ、圧迫されるため起こります。
歯性上顎洞炎は慢性副鼻腔炎の一種
鼻水が出る、鼻が詰まる、匂いがわかりにくい、体がだるいといった症状が長期間続くものを慢性副鼻腔炎と呼びます。慢性副鼻腔炎の中には、歯のトラブルが原因で起こる歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)というものがあります。
歯性上顎洞炎は、上の奥歯周辺のトラブルが原因で上顎洞(副鼻腔の一部)が細菌に感染し、膿が溜まって歯の痛みや頭痛などの症状を引き起こす病気。慢性副鼻腔炎の2割程度がこの歯性上顎洞炎だと言われています。
奥歯の虫歯や重度の歯周病のほか、親知らずがうまく生えてこず炎症を起こしたとき、虫歯の治療を途中で放置して根の中に唾液や食べかすが入ったときなども歯性上顎洞炎にかかることがあります。
歯性上顎洞炎の症状
鼻詰まり
副鼻腔が腫れたり、膿が溜まったりすることによって鼻で呼吸がしづらくなります。
頭痛・目の奥の違和感
上顎洞の周りの骨は上顎や目の周り、頭の骨まで繋がっているため、膿が溜まると周りの神経や血管が圧迫され、痛みを感じることがあります。
歯の根元の痛み、ものを噛んだときの違和感
上顎洞は上の奥歯の根元と近いため、炎症が奥歯の根元に拡がり、痛みや違和感を引き起こします。
口臭
膿が溜まるため、鼻の奥や口から嫌な臭いがすることがあります。
歯性上顎洞炎の治療法
歯性上顎洞炎は、上顎洞炎(副鼻腔炎)に対する治療だけで完治させることは難しくなります。つまり、歯科的な治療と耳鼻科的な治療の双方が必要となるため、耳鼻科での治療を受けながら歯科で歯のトラブルを治療することになります。
虫歯の場合は、抗生物質と痛み止めで症状を抑えながら、歯の中や根の中の治療を行います。健康な部分が多く残っていれば残しますが、感染がひどい場合は抜歯し、膿が溜まった上顎洞を洗浄することもあります。なお、原因となっている歯が特定できない場合はCTを撮り、膿が溜まっている部分から判断します。
CTがある歯科の受診を
歯と関係のない副鼻腔炎であるのか歯性上顎洞炎であるのかは、自分で判断するのは困難です。副鼻腔炎がなかなか治らない場合や、歯とその周辺に違和感や痛みがある場合、耳鼻科医に勧められた場合は歯科医院を受診するようにしてください。
歯性上顎洞炎の確定診断には、CTによる撮影が必要です。歯性上顎洞炎の疑いがある場合は
CTがある歯科医院を探して受診しましょう。
参照
https://hanoblog.com/dental-sinusitis-9178
https://medicalnote.jp/diseases/歯性上顎洞炎
https://allabout.co.jp/gm/gc/479738/
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_736.html
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/80.html
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/sinusitis/
【ライター紹介】 小晴(こはる)
出版社での美容雑誌編集、web制作会社でのライター業を経て、フリーライターとして活動中。「文章を通してひとの暮らしをよりよくする」をモットーに、美容からライフスタイルまで、女性向けを中心に幅広い分野の記事執筆を手がける。2018年より唐突にパーソナルカラーの世界にハマり、イエベメイクの研究に日々勤しんでいる。現在は化粧品検定1級の取得を目指し奮闘中。