「ヨーグルトで歯を磨くと歯周病を防げる」という噂の真相に迫る
まず抑えておきたいヨーグルトの成分・効果
健康食として非常に人気のあるヨーグルトですが、豊富なカルシウムが含まれています。カルシウムは摂取することで歯そのものを強くする効能があり、口腔内の虫歯菌や歯周病菌を排除する役割も担ってくれます。そのため、予防効果があると謳われています。
丈夫な歯をつくるために……
カルシウムは、歯が生えるときや歯や生え替わる際に必要な成分です。カルシウムとリン酸が不足していると、健康な歯が生えてこない可能性があります。しかし、ヨーグルトを食べることで豊富に含まれているカルシウムが丈夫な歯をつくる手助けをしてくれるのです。さらにヨーグルトにはミネラルやタンパク質もバランスよく含まれているので、栄養をバランスよく吸収することが出期待できます。
永久歯が生えそろう6~12歳の成長期にヨーグルトを食べてカルシウムを摂取すれば、歯質を強くすることで長く健康な丈夫な歯を形成することにつながります。
ヨーグルトのカルシウムは虫歯にも効果的!?
虫歯の初期段階は、歯の外側のエナメル質が虫歯菌の酸で少しずつ溶かされてしまった状態をいいます。しかし、口腔内の状態が健康であれば歯の再石灰化によってエナメル質は再生されます。
カルシウムが不足してしまっていると唾液中のカルシウムも減り、歯の再石灰化能力が低下することで歯が進行する可能性が高まるでしょう。しかし、ヨーグルトを食べることで歯も強くなり、ヨーグルトに含まれているカルシウムが歯の再石灰化を促進し、初期の虫歯予防にもつながると言われています。
腸内環境をよくする作用がある
腸内フローラルと呼ばれる腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)において善玉菌を増やし、腸内環境を乱す悪玉菌を排除する効果があります。腸の中と同様にみなさんの口の中にも細菌が無数に存在しています。
そして、この菌の繁殖を未然に防げば虫歯予防にもつながるのです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内の悪玉菌を排除するように、虫歯菌や歯周病菌も排除できることがわかっています。
ヨーグルトが歯の健康にいいという噂の真実は!?
ヨーグルトに含まれているカルシウムや細菌を排除する作用があるため、虫歯や歯周病に効果的だということはおわかりいただけたかと思います。しかし、今回のテーマは「ヨーグルトによる歯磨き」です。ヨーグルトで直接的に歯を磨くことで虫歯や歯周病を抑制することはできるのでしょうか。
その答えは、残念ながらあまり現実的ではありません。つまり、現段階で噂の真相は事実無根ということです。体内に摂取することにおいては効果が望めますが、ヨーグルトが歯に付着した状態で歯磨きをすることでの効果は立証されていません。
しかも、いくらヨーグルトが健康にいいと言っても、砂糖が入っているヨーグルトを使用して歯を磨いた場合、反対に虫歯を進行させる原因にもなってしまうことも考えられるでしょう。本当に効果が期待できるのであれば、すでに商品化などが見込まれるはずなので、現状では「噂はまだまだ噂に過ぎない」ということになります。
現段階では噂に過ぎないという残念な結果に……
もしかしたら今後、歯磨きの際に使用できるヨーグルトが日本でも発売されるようになり、この噂が「真実」となり、常識となる日も来るかもしれません。
歯磨き終わりに口の中がヨーグルト味を実感しつつも、口腔内環境がいい状態に保たれているなんて、なんだか夢のような話ですね。虫歯や歯周病を予防し、なおかつ歯磨き終わりがおいしいときたら、歯を磨くことに積極的になれる人も増えるかもしれません。ヨーグルト歯磨きが本当に実践される日は、実際に訪れるのでしょうか。