ライオンが警鐘を鳴らす「大人のむし歯“根面う蝕”」とは? 予防のカギはフッ素の活用

2019.03.19 newsHa・no・ne編集部

「大人の残存歯」が増えたからこそ注目される「大人のむし歯」

大人の残存歯

ライオンが“大人のための予防歯科”に関するセミナーを開催しているように、ここ数年の間に注目を浴びるようになった“大人のむし歯”。しかし、なぜこうしたむし歯を心配する対象が子どもから大人にシフトしたのでしょうか。これには予防歯科に関する取り組みが大きく関わっています。何度かHa・no・neでも取り上げている予防歯科の取り組み「8020運動」でも、60歳以上の平均残存歯は増加傾向にあるとされています。これは、日本の歯科医療の取り組みにおいて大きな成果といっても過言ではないでしょう。

しかし、それと同時に大人のむし歯に関しては、横ばい~増加という結果も出ているのです。これは、「年を重ねたことで、むし歯になりやすい性質の歯になった」というわけではなく、「大人の残存歯が増えたことで、その分だけむし歯になるリスクも増加した」ということにつながっています。大人のむし歯に関しては歯科医が警鐘を鳴らしているものの、まだ認知度が非常に低いのが現状です。どんなに歯を残していても、その後にむし歯になってしまっては本末転倒。まずは、大人のむし歯について知り、油断せずに根気よく予防を続けていく必要があります。

注意したい大人のむし歯「根面う蝕」について

根面う蝕

ライオン主催の「大人のための予防歯科セミナー」では、快適生活研究所 オーラルケアマイスターの平野正徳さんによる根面う蝕についてのお話を聞くことができました。まずは、根面う蝕とはどういったものなのかをご紹介していきます。

露出した歯の根元部分にできるむし歯「根面う蝕」

根面う蝕とは、露出した歯の根元部分にできるむし歯のことです。歯は、歯ぐきより上の部分はエナメル質によって守られていますが、歯根部分にはエナメル質がなく象牙質をごく薄いセメント質が覆っているだけ。象牙質はエナメル質に比べて、硬さは1/4以下ともいわれるほど非常に柔らかく酸にも弱くなっています。そのため、歯の根元部分はむし歯になりやすく進行も早いことから、歯を失ってしまう可能性も高くなるため非常に危険なむし歯なのです。

根面う蝕のリスクは30代から増加!

根面う蝕が大人のむし歯といわれている理由として、年齢を重ねるごとに歯ぐきが下がってしまうことが挙げられます。歯ぐきが下がることでそれだけ歯の根元の象牙質が露出するため、根面う蝕のリスクが高まってしまうのです。セミナーで行われた説明では、「30代の約60%、50代ではほぼすべての人に“歯ぐき下がり”が見られた」というデータが紹介され、根面う蝕のリスクは30代から急激に増加するとのことでした。

根面う蝕を予防するため必要なことは?

根面う蝕の予防

歯ぐきが下がってしまう原因は「不適切なブラッシング」「歯周病」「加齢」が主な原因です。ブラッシングや歯周病に関しては自分の力で予防することが可能ですが、加齢に関しては防ぐことができません。そして、下がってしまった歯ぐきは元に戻ることはないため、根面う蝕のリスクは年々高まっていくことになります。そういったなかで重要になってくるのが、以下のような「予防歯科の取り組み」です。

プロとセルフのダブルケア

日々の歯磨きやフロスによるセルフケアを怠らないことはもちろんですが、それに加えて定期的な歯科健診を受けることも欠かせません。歯科医師のプロによるケアやブラッシング指導と、それを踏まえたセルフケア。このサイクルを回していくことが、口内環境を良好な状態に保つためには必要だといえます。

高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使用する

フッ素には、歯から溶け出したカルシウムなどを再び沈着させる「再石灰化促進」、歯が酸で溶けるのを抑制する「歯質強化」、むし歯菌の働きを弱める「細菌の酸産生抑制」といった作用があります。このフッ素は根面う蝕の予防にも効果があるというデータがあり、予防歯科を考えるうえでフッ素は重要な要素といえるでしょう。

フッ素が配合された歯磨き粉は今までも発売されていましたが、今までは1000ppm以下しかフッ素を配合することができませんでした。しかし、2017年3月に国際基準と同じ1500ppmまでフッ素を配合することが承認されたため、1000ppm以上のフッ素を配合した「高濃度フッ素配合の歯磨き粉」を使用することができるようになりました。

歯の根元までのケアを考えた「クリニカアドバンテージ NEXT STAGE」

クリニカアドバンテージ NEXT STAGE

クリニカアドバンテージNEXT STAGE ハミガキ
医薬部外品
販売名:クリニカR
6才未満への使用は控えてください



今回のセミナーでは、ライオン株式会社から2月13日に発売された新商品「クリニカアドバンテージNEXT STAGE ハミガキ」の紹介も行われました。

この新商品は「大人のための予防歯科」がコンセプトであり、以下の特徴があります 。

・1450ppmという高濃度フッ素配合。歯の根元のムシ歯も予防。
・DEX(デキストラナーゼ酵素)を配合し歯垢を落とす
・LSS(ラウロイルサルコシン酸Na)を配合し原因菌を殺菌し口臭・ムシ歯を予防
・硝酸カリウムを配合し知覚過敏ケアにも効果的
・高粘性ジェルペーストとコーティング剤PCA(ピロリドンカルボン酸)で歯の根元まで密着コート

一般的な予防歯科のポイントをおさえながら、歯の根元までケアしてくれるクリニカアドバンテージNEXT STAGE ハミガキ。「予防はしたいけど、どのような歯磨き粉を使ったらよいかわからない」という方にはぴったりの歯磨き粉かもしれません。

また、このような少し値段の張る歯磨き粉には香味が独特なものも少なくありません。なかには、そういった商品を実際に使用していたが、独特の香味のせいで使用するのが苦になってしまったという経験をした方もいるのではないでしょうか。しかし、「香味が受け付けないから予防がおろそかになる」というのはもったいないですよね。

そのために、クリニカアドバンテージNEXT STAGE ハミガキでは香味にもこだわって作られているようです。柚子をベースに表現した「クリアシトラスミント」とキンモクセイをベースに表現した「リラックスミント」の2つの香味が用意され、気分や好みに合わせて選べるようになっています。予防効果だけでなく、香味にもこだわって作られているのは嬉しいですね!

AIが歯ぐきの状態をチェックしてくれるツールも開発中!

AIツール

今回のセミナーでは「クリニカアドバンテージNEXT STAGE ハミガキ」が紹介された以外にも、現在開発中の「お口の状態が簡単にセルフチェックできるアプリ」のデモも行われていました!こちらのアプリは、口を「い」の形にして撮影するとその画像からAIが口腔内の状態をチェックするとともに、おすすめのケア方法を紹介してくれるというもの。こちらのアプリはまだ開発中でリリース時期など詳細は不明ですが、こういったアプリが実用化されればセルフチェックが簡単になり、お口の健康に関する意識も高まるでしょう。以前 行った「電動歯ブラシ×IoT」の取材でも感じたことですが、科学の発展はすごいですね!

年を重ねても油断は禁物!予防はしっかりと!

むし歯は決して子どもだけが気を付けるものではなく、大人は大人なりの対策をとることが大切です。とくに、歯の根元にできる根面う蝕は、歯ぐきが下がってくる大人こそ気を付けなければいけません。高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使うなどのセルフケアと歯科医院での定期検診によるプロケア。この2つを上手に使いこなしていくことが、むし歯はもちろんさまざまなリスクからお口の健康を守ることにつながります。自分の歯をこれからも健康な状態で残すためにも、また、今まで残してきた健康な歯を失わないためにも、油断することなく十分なケアを行っていきましょう。

▼取材協力

ライオン株式会社
公式ホームページ:https://www.lion.co.jp/ja/
〒130-8644 東京都墨田区本所1-3-7
TEL:03-3621-6211

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